19世紀末から20世紀初、ブロードウェイの舞台女優で知られた「モード・アダムズ(Maude Adams)」の写真を見たことでインスピレーションを受けたといわれる、ロマンティック・ファンタジー小説を原作にした映画「ある日どこかで(Somewhere In Time)」(1980年)のDVD版をようやく見た。(2月末にDVDを入手しながら、実際のモード・アダムズと映画で彼女を演じた女優とのイメージの違いから、見る決心がなかなかつかなかった)
順番でいえば、Youtubeで、モード・アダムズをTribute(賞賛)する、彼女の古い写真のスライドショーを見たのが最初だ。彼女を紹介する画面の背景に、映画「ある日どこかで」のサウンドトラックの美しい旋律が流れた。彼女の姿は、古い時代の役者に見られるようなふくよかさと違って、今の時代に登場しても受け入れられる凛とした透明感を持つ。
(本ブログ関連:”モード・アダムズ”)
(再掲)
(Youtubeに登録のDavid Remleyに感謝)
映画の導入部で、「クリストファー・リーヴ」の演じる脚本家が、歴史あるホテルの資料室に飾られた、ホテル付属の劇場で芝居を演じた舞台女優の古い写真を見て、心惹かれることから物語が本格的に始まる。彼は、念じるように時空を超越して彼女と出会うことができる。展開は、SF的というより、むしろラブロマンスが勝るようだが・・・。
(本ブログ関連:時空を超えた出会い)
時代を遡って男女が出会うという設定は、舞台を古色にする。アメリカ人の懐古趣味に合うものがあるようで、以前、クリストファー・リーヴが演じた映画「スーパーマン」(1978年)の中に、夕映えの草原で母親が息子の巣立ちを受け入れる、懐かしさが心にしみるような場面があった。私は、その光景に、なぜか「アンドリュー・ワイエス」の絵画を思い浮かべていた。
映画について語るとき、物語の展開(脚本)に関心を持つか、映像や演技に関心を持つかといった視点が前提になるだろうけれど、今回、おじさんがいろいろ語るにはちょっと恥ずかしい。むしろ、原作のSFファンタジー小説といった文字世界の方が、案外居心地よいというのに気付いた次第。(実は原作の創元推理文庫も入手している)
ちなみに、モード・アダムズは、ブロードウェイで最初の「ピーターパン」役を演じた。そこから、ついつい、イ・ソンヒもピーターパン役を演じたなどとブログに記している。
(本ブログ関連:”ピーター・パン”)