KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(8/28)に、文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズの第21回として、「酒(술)」について紹介された。
まず酒にまつわる詩人の解説から次のように始まった。
・韓国の代表的な酒には、相性の良いつまみも決まっていて、マッコリにはチヂミ、焼酎には海鮮もの、ビールにはチキンがある。ところで、今も昔も酒席が重視され、朝鮮時代のカサ(歌辞、가사)文学で知られる松江鄭澈(송강정철、1536年~1593年)は、政治に力があったが、風流もこよなく愛した人物と知られる。松江鄭澈が残したシジョ(時調、시조)に、酒をモチーフにしたものが残されている。
「ソン・グォンノン*の家に酒が出来上がったという話を昨日聞き、牛に乗って駆けつけた。
おぉ、グォンノンはいるか、私が来たと伝えてくれ。」
(*)ソン・グォンノン(성궐롱)は、鄭澈と親しいソン・フンと言われる。
▼南道民謡「フンタリョン(흥타령)」を聴く。菊酒を月明かりに照らされて飲みあかそうか・・・ゆたりと時間が流れるよう。
伝統の酒について次のように紹介された。
・昔、酒は、よき人々と共に心酔うものと考えられ、名節や節気など先祖の祭祀を捧げるため、家々で作った酒を「家醸酒(가양주)」と呼んだ。家門、酒作りの腕、さらには地域によって多種多様な味と香りを醸し出した。名のある家門の酒は上等を表す「名家銘酒」といわれ、客も、先祖のための祭祀(제사)も多かった。自然、酒を造る頻度も多くなり腕が上がった。
今も各地に伝統酒が残されていて、慶州の法酒(ポプジュ)/全州の梨薑酒(イガンジュ)/京畿道のムンベ酒/済州島のオメガ酒/忠清南道沔川の杜鵑酒(トゥギョンジュ)/韓山の素穀酒(ソゴクジュ)/珍島の紅酒(ホンジュ)などがある。
▼朴木月(박목월、1916年~1978年)の詩、チャン・サイク(장사익、1949年~)が歌う「旅人(나그네)」を聴く。酒の香り引き寄せられ、漂う雲のように、いや月のように・・・酔っているかな。
高麗時代の文人と、仕掛けのある酒器について次のように語られた。
・高麗時代の文人李奎報(이규보、1168年~1241年)は、詩とコムンゴ、そして酒を楽しむことを日課とした。酒がないと詩を書くこともできず、「酒でほろ酔い気分となり、体の力が抜けると心が活発となり、踊りも踊り歌も歌う。これは全て酒がさせたことだ」といった。
昔の人も酒の良し悪しを知っていて、教訓を込めた「戒盈杯(계영배)」が残されている。この杯は、70%以上酒が注がれると、自動的に全ての酒が下へ流れ落ちる仕掛けになっている。
▼「倡夫打令(창부타령)」を聴く。まるで言葉を旋律のように、するすると入り込んでくるような、軽快さと摩訶不思議な・・・(俺は)酔っているのかなという感じ。