通り道の塀を越えて、湧き出るようにして重なり合いながら咲くオレンジ色の花を目にする。「ノウゼンカズラ」の花だ。あまり気付かなかったものの、最近あちこちで見るようになった。その色合いが、従来になく明るく洒落ていて、オレンジ色の軽快な感じが受け入れられるのだろう。
Wikipediaによれば、「ノウゼンカズラ(凌霄花、紫葳、Campsis grandiflora)はつる性木本」とのこと。確かに近づいてよく見れば、つる状に伸びた茎に花が咲き連なり、まるで寄生しているのかと見紛うほどだ。夕方、陽が陰りだした頃、遠くに浮かぶこの花に、ほっとした安らぎを思うことがある。一輪の美しさというより、群れてこそ美しい庶民的な花なのかもしれない。
この色合い、どこかで見たと思い返せば、もう時期を過ぎたが、これも流行か最近あちこちで咲く「ナガミヒナゲシ」がある。これもWikipediaによれば、「ナガミヒナゲシ(長実雛芥子、長実雛罌粟、Papaver dubium)は、ケシ科の一年草」とのこと。
ナガミヒナゲシの花は、まるで世話も受けずに、どちらかといえば身の置き場をわきまえて、一本一本けなげに咲いているように見えて切ない思いがする。なぜ、通り道の埃が吹き寄せる塀の下に植えたのかと。でも、この花は芯が強いのだろう、雑草化しつつあるというのだが、どうなることか。