KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(1/13)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、身近な動物「犬」に関連した3曲を紹介した。
始めに、京畿民謡「ヌンシル打令(는실타령)」と女性芸人団「寺堂牌(사당패)」について次のように紹介された。
・ソウル近辺の京畿地域の民謡は、他と比べて明るく派手なものが多い。人生、愛や別れを歌うときもそうで、恨みや悲しみより楽しく華やかに歌う。中に、「ヌンシルヌンシル」と繰り返す「ヌンシル打令」がある。特に意味はないが、動物の鳴き声を表した歌で、身近な鶏や犬から、鳳凰の鳴き声まである。あちこち彷徨った女性芸人団「寺堂牌(サダンペ)」が歌ったことに由来する。道端で疲れて歌ったろうが、リズムは依然愉快。
(本ブログ関連:”打令”)
▼ 「ヌンシル打令」の歌を聴く。歌謡の原点のよう、明るく楽しませる・・・流浪の歌だったのだろうか。
次に、現在伝わる動物をテーマにした「犬打令(개타령)」の統営(トンヨン)地域のものについて次のように紹介された。
・伝統音楽に時々動物が登場するが、主人公となる歌は少ない。動物でも、人と身近な犬は民謡にふさわしいテーマだ。「犬打令(ケタリョン)」は釜山近辺の統営、北方の西道(ソド)地域に二種伝わる。最近は犬をかわいがるが、昔は違う目的で飼った。泥棒よけの実用的な理由だ。いざ泥棒が入っても吠えず、そうでないとき吠える犬がある。昔の詩に、そんな犬について、歓迎しない相手にしっぽを振り、喜ばしい人には吠える。夜こっそり訪ねきた恋人に吠える犬のなんと憎たらしいことだろう。
▼ 統営地域の「犬打令」を聴く。夜、遠吠えを重ねる犬のよう。今様(アレンジ)である。
最後に、西道(ソド)地域の犬打令について次のように紹介された。
・統営地域と違い、西道地域の犬打令は犬を脅かす。犬の方言カイで歌う「カイヤ、カイヤ」で始まる。夜の人(密かに訪ねる恋人)が来たら吠えるな。吠えたら土葬すると脅かす。犬が理解したか分からない。犬から始まるので「犬打令」と呼ぶが、その後、木の下で遊ぶヒヨコの話に移る。一羽はトビがさらって行き、もう一羽は姑にばれぬよう二人で仲良く食べようという、少し恐ろしい恋愛の話だ。二人以上の歌い手が漫才のように掛け合うため、漫才の意の「ゼダムソリ(재담소리)」に分類されることもある。
▼ 犬を脅かす内容の西道地域の歌「犬打令」を聴く。掛け合いに抑揚を付けた素朴な感じがする。
・犬に頼んだり脅したり、吠えてはならぬという切実な気持ちが伝わる。ともに恋人の話が登場するのがおもしろい。