KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(8/5)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、朝鮮時代の「楽学軌範(악학궤범)」(1610年、開版)に載った、男女の間を歌う「井邑詞(정읍사)」など、古謡にかかわる3曲を紹介した。
始めに、古謡「井邑詞」の由来と記録について次のように紹介された。
・約1,000年前のこと、全羅北道井邑詞の地に住んでいた夫婦の話し。ある日、遠く出掛けた夫が帰ってこないので、妻は不安で心細くなり、月に向かって祈る歌がある。「お月さまちょっと高く昇って(달하 노피곰 도다샤)」で始まる歌だ。この歌「井邑詞」は、高麗時代にも広く歌われ、朝鮮時代に「楽学軌範」に初めて載る。リズムは忘れられたが、ハングル歌詞が残る。
(参考:KoreaDaily NewYork)
▼ 「井邑詞」の歌詞からリメイクした歌「お月さまちょっと高く昇って」を聴く。素朴で、今様である。
次に、「井邑詞」の系譜と、合奏曲「壽齊天(수제천)の評価について次のように紹介された。
・「井邑詞」は、高麗時代の宮中でも、太鼓を叩き踊る「舞鼓(무고)」の伴奏演奏時に歌われ、伴奏は朝鮮時代まで受け継がれた。朝鮮後期、舞踊「牙拍舞(아박무)」に合わせ演奏された。最近は、伝説の人物処容(처용)が仮面で踊る「処容舞(처용무)」に伴奏される。「井邑詞」は、合奏曲「壽齊天」でも伝わる。この管楽器合奏は、雄々しいリズムが特徴。伝統音楽中、最も高く評されていて、内外の音楽学家に、<乱れた世俗から逃れ空高くそびえ立ち、春の日差しに輝く大きな山のようだ>、<魂が息をする音に、まるで夢を見たかのような一時を過ごしたのがなんと幸せであるか分からない>といわれた。
▼ 「壽齊天」の演奏を聴く。古皮に入れた新しい酒、随分と洗練された演奏だ・・・。
最後に、百済の世界遺産登録について次のように紹介された。
・百済は660年まで続いた古代国家で、今のソウルから、忠清道と全羅道地域を領土とした。長い歳月、当時の歴史や文化は消えてしまったが、一部痕跡が残る。大きな寺や古墳跡などから、独特な暮らしを垣間見ることができる。第39回ユネスコ世界遺産委員会で、忠清南道と全羅北道に位置する、考古学の遺跡の登録が決まった。
▼ 「井邑詞」のコムンゴ演奏を聴く。時間を絵にしたような、ゆたりと親しむ。
終わりに、(意外や)百済文化は一般に馴染まれていないとのこと、今回の登録をきっかけに・・・という話しで結ばれた。