昔のこと、電線柱工事の後の地面に破損した「碍子(がいし)」が散らばっていて、中身を見ると黄色の塊りがあった。子ども心に、それが硫黄ということは直ぐに理解できた。絶縁体として用いられていたのだ。新鮮な硫黄がむき出しになっていて、その光沢にすっかり魅了された。直接関係するかどうか、私は黄色が好きだ。
硫黄といえば、鉱物趣味で、硫黄と名の付くところに行ってみたいと考え、その第一に選んだのが北海道の知床にある「知床硫黄山」だった。ちょうど < 千歳-女満別線のYS-11ラストフライトの前日だったこともあり搭乗(まさに便乗)して、知床硫黄山に硫黄を採りに行くことができた >。
同山は、明治期に海岸線まで大量の硫黄を噴出したという。それは過去のこと、面影だけでも見られればと妄想して出かけた。真夏の時期をはずしたため、山麓までタクシーを借りて至り、ヒグマとの遭遇を恐れ、ハンマーで空き缶を打ち鳴らしながら登った。
岩だらけの頂上に至る前の場所で硫黄を採集した。思ったほど残ってはいなかったが、小片をけっこう手に入れた。鉱物趣味のベテランからみれば、本流じゃないかもしれないが満足できる採集だった。
あれれ、話が長くなる。(箱根の大涌谷で、柵を乗り越えて硫黄を採取したことも・・・)
ところで、九州南部の巨大カルデラ爆発を予測試行した小説「死都日本」(石黒耀)は、科学者参加のシンポジウムを開催するまで関心を呼んだ。頭の中に硫黄が再び浮かんだ。
鹿児島沖に「薩摩硫黄島」がある。「鬼界カルデラ」の一部をなすもので、海底に巨大なカルデラが存在する。北の知床硫黄山に行ったのだから、今度は南だと単純な発想からだった。
ネット情報をもとに色々な装備を想像したが、硫黄岳はずっと手前から眺めるしかできない・・・当り前のことなのだが。火山に行きたい、硫黄を見たい・・・思いだけを残したまま。
(本ブログ関連:”噴火”)
その「鬼界カルデラ」について、毎日新聞の記事「溶岩ドーム 世界最大級、鬼界カルデラで神戸大確認 直径10キロ マグマだまり成長か」(2/10)が最新情報を紹介している。
⇒ 神戸大学プレスリリース「鬼界海底カルデラ内に巨大溶岩ドームの存在を確認」(2/9)
⇒ オンライン英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載。(2/9 公開)
⇒ ニフティニュース「滝沢秀明、英科学誌論文に名を連ねる 海底火山研究チームの一員に」(2/10)
滝沢秀明さんは、NHKのBSプレミア「火山探検紀行 巨大カルデラの謎に迫る」に参加とのこと。