KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(2/5)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズの第42回として、「馬(말)」にまつわる話を紹介した。
まず始めに、馬にまつわる逸話の紹介から次のように始まった。
・新羅の昔、没落した王朝の末裔に一人の青年がいた。両親は再興を期待して、幼くから厳しく躾けた。
・しかしながら成長した彼は、身分の低い娘と恋に落ちる。それを知った母は強く叱り、二度と娘の元へ行かぬよう誓わせたが、或るとき、酒に酔い乗馬して家に帰る彼の前に、娘の迎える姿があった。彼を思いやった馬が、娘の元へ導いたのだ。母との誓いを守る彼は、その馬の首をはねて家に戻った。娘は彼を恨めしく思い「怨詞(원사)」を歌った。三国統一に最大級貢献した新羅の将軍金庾信(김유신、595年~673年)の若い頃の逸話だ。(「破閑集」)
▼ 玄琴(コムンゴ)演奏による「新羅幻想曲」を聴く。御簾越しに流れるような・・・今様である。
次に、この逸話に触れた、李公升の詩について次のように説明された。
・金庾信に捨てられた娘は天官女(천관녀)といい、後年(三国統一後)、金庾信が彼女のために建てた天官寺(천관사)の名から付けられたようだ。天官女には、妓生(기생)あるいは巫女(무녀)とする説などある。
・天官女の歌「怨詞」は忘れられたが、高麗時代、慶州に赴任した李公升(이공승、1099年~1183年)が、天官寺の前を通りかかり、金庾信と天官女に関連してしたためた詩が伝えられている。その要約は、「青年と哀れな女性の愛の話も心痛む・・・が、最も気の毒なのは、忠誠を誓ったという罪だけで、かわいそうに命を落とした金庾信の馬であったのではないか」というものだ。*
(*)ブログ「タルマル(달마루、天と地?)」に踏査情報がある。感謝。
▼ 大琴(대금)による「河臨城(하림성)」を聴く。笛の大きさに比して高音澄明な響き・・・今様である。
・「河臨城」は、伽耶琴(カヤグム)楽師の于勒(우륵)を受け入れた新羅王真興(진흥、534年~576年)の宮殿の名という。
最後に、建国神話での馬との関わりについて次のように解説された。
・新羅建国の赫居世居西干の出生にまつわる神話に、ある日、蘿井(나정)という井戸端で白馬がいななきながら天へ登った。そこに大きな卵が落ちていて、中から生まれたのが赫居世居西干だ。また、高句麗建国の東明聖王(朱蒙)も幼い頃、馬の面倒を見る仕事をしたと伝えられている。
▼ 男唱歌曲(界楽)「鐵驄馬に乗って(철총마 타고)」を聴く。雉狩りに行こうとするに、悠然としながらも心ははやる、馬は胴震いする、そんな感じかな。
・終わりに、岸さんから「ひとと深い関係を持った馬のように、どんなシーンでも心温まる関係を築けるような一年にしたいものですね」とのこと。まさに、おっしゃる通りです。