Youtubeに掲載のANNのニュースより
今年のノーベル化学賞に京都大学副学長・京大特別教授の北川進さんが選ばれました。
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北川さんは極めて小さな穴を無数に持つ物質である「多孔性材料」*の開発に世界で初めて成功しました。
「多孔性材料」はガスの吸着機能があり、天然ガスなどの貯蔵ができるだけでなく、排ガスから二酸化炭素を分離して吸着するといった様々な応用が可能とされ、地球温暖化対策での活用も期待されています。
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(*)多孔性材料:多孔性配位高分子(PCP:Porous Coordination Polymer)/金属有機構造体(MOF:Metal-Organic Framework)
■ 科学技術振興機構
「事業成果 気体を“選んで”吸着・分離 多孔性配位高分子(PCP)の開発」より抜粋
ー https://www.jst.go.jp/seika/bt61-62.html
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・従来、気体の吸着剤として広く用いられてきたのが「ゼオライト(沸石)」で、無数の「孔」が空いた「多孔性」構造を持つ。表面積が大きく、気体分子を大量に吸着できる。消臭剤として古くから使われている活性炭も「多孔性」構造を持ち、臭いの元となる気体分子を吸着する。こうした物質は「多孔性材料」と呼ばれ、孔のサイズを変えて目的の分子を吸着させる研究などが進められてきた。しかし、ゼオライトはケイ素とアルミニウムと酸素を主成分とする固い構造を有しているため、分子を吸着する際に多孔性構造を変化させて、サイズや形状の異なる様々な分子を識別し、吸着するのは困難とされてきた。
そんな状況を打破したのは、多孔性材料の研究者ではない北川教授だった。専門は「錯体化学」。金属錯体は、金属イオンの周囲に有機物(配位子)が結合した構造を持つ。金属イオンや配位子の種類を変え、さまざまな機能を持たせられることから、新たな多孔性材料として大きな可能性を有している。
しかし、有機物を含む金属錯体は構造が不安定で、極めて壊れやすい。北川教授は、従来の常識を覆す、構造が安定して保持されつつ、気体を吸着する金属錯体の作製を成功させた。さらに、周囲の環境や外的刺激に応じて構造や性質が変化し、選択性の高い吸着や脱着を可能とする金属錯体を実現した。多孔性配位高分子(PCP:Porous Coordination Polymer)と名付けた新材料系統は、従来の材料の限界を越える画期的な吸着剤として、世界中で実用研究に向けた研究開発が進められた。
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■ Youtube(登録: ANNnewsCH)
【速報】今年のノーベル化学賞は京都大学副学長の北川進さん(74)(2025年10月8日)
ー https://www.youtube.com/watch?v=nF8-Okxiikc