夏の高原や山地で鳴き声を聞く野鳥に「カッコウ(郭公)」*がいる。野鳥図鑑を見ると、カッコウは意外にサイズが大きくて、「ドバト(カワラバト)」並み(35cm)である。イメージが違うのは私だけか・・・、残念なことに、このブログにカッコウについて見たとか聞いたとかの記録がない(経験を忘れただけかもしれない)。
(*)唱歌では、「森の奥」だったり「湖畔の森の陰」で鳴いている。
カッコウは、武蔵野の台地でも観察できるようだ。自然観察会の会報を見ると、昨年(2022年)の例として、5月~6月の間に19件報告されている(7~8月についても、別年の報告で数件ある)。
渡り鳥のカッコウは、日本の初夏にやって来て夏を過ごすため、<夏の季語> になっている。一方、「ヨーロッパでは、春を告げる鳥、春の嵐を呼ぶ鳥、幸運を呼ぶ鳥とされる」(Wikipedia)ようだ。(e-Wikipediaでは「ヨーロッパとアジアへの広範囲にわたる夏の渡り鳥」、d-Wikipediaでは「成鳥と幼鳥は 8 月の初めにドイツを離れ、通常 4 月の後半に戻ってきます」とある)
英国中世の詩人「ウィリアム・ラングランド(William Langland)」(1332年~1386年)が著した(おそらく 1377年に書かれた)叙事詩「農夫ピアズの幻想」(池上忠弘訳、1975年)の序は、「日の暖かなある初夏のこと。・・・」から始まる。この語りについて、<訳注>に、中世当時の聴衆をひきつける常套として、次のよう解説されている。(抜粋)
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日の暖かなある初夏のこと
これと似た表現は十四世紀中頃、頭韻詩で書かれた(3つの詩集が示される)に見られる。このような冒頭部分は中世の文学の夢のアレゴリー**物語では常套的な表現手段で、聴衆を非現実的なアレゴリー世界に導くものである。ある晴れた五月の朝、木や鳥、草花や小川が必ず道具として配置され、・・・
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(**)アレゴリー: 寓意、「<知恵>は言った・・・」のように擬人化する表現。
Youtubeに登録されている、海外の古楽(合唱)の歌詞にカッコウと関係づけて「夏がやってきた」という表現がある。
「【最古のカノン】【中世の英語】夏がやってきた」(対訳付き)
- https://www.youtube.com/watch?v=K1D-XAixWPs
登録者の解説によれば「1280年ごろから1310年ごろに書かれたと考えられています。」とある。歌の出だし部分の対訳は次のようになっている。
- Youtube登録者: rossignol japonais DTM古楽etc. に感謝。
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歌えカッコウよ いま 歌えカッコウよ
夏がやってきた 大声で歌え カッコウよ
種は芽ばえ 草地は花盛りになり 木はいま芽吹く
歌えよカッコウよ
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