KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(8/15)に、文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズの第19回として、朝鮮半島に伝わる民謡「アリラン(아리랑)」について紹介された。
まず、或るアメリカ人によるアリランと次のような出会いの紹介から始まった。
・1937年、米国女性記者ニム・ウェールズ(Nim Wales:エドガー・スノーの最初の妻、本名Helen Foster Snow)は、中国の延安で朝鮮人青年キム・サン(本名張志楽、中国共産党により反革命罪とスパイ罪で翌年粛清される)と出会う。後年、彼とのインタビュー記録「アリランの歌(Song of Ariran)」を出版。その中に次の一節がある。「私の人生は失敗の連続だった。わが国の歴史もまた失敗の連続だった。私はただひとつ、私自身に対してのみ勝利しただけだった。しかし、前進し続ける自信を得るに当たっては、このわずかな勝利だけでも十分だった。」 アリランは、他国で命を落とした朝鮮青年たちの生き様が込められた歌でもある。
8月15日の「光復節(광복절)」にちなんで、逆境にも負けず、再び立ち上がる韓国の象徴的な民謡「アリラン」を紹介する。
▼「江原道アリラン(강원도 아리랑)」を聴く。まるで清く澄んだ水の中で聞くよう・・・今様である。
⇒ Youtube:「나윤선」(登録者の종숙 유に感謝)
流転のなかにも、「アリラン」が歌われた話を次のように紹介された。
・アリランは、いつ、どこで始まったのか、その意味は何か今も謎であるが、韓国人はアリランを歌い、ひとつに団結してきた。旧ソ連のスターリン時代に中央アジアへ強制移住された「高麗人」も、植民地支配に命をかけて海外で活動した人たちもアリランを歌った。
先日、慶尚北道聞慶においてアリラン展「道の上の歌、峠の声:アリラン」が開かれ、1916年にドイツで録音されたアリランの音源が公開された。キム・グレゴリー、アン・ステファン、ユ・ニコライ(?)たち青年が残したと伝えられる。彼らは、第一次世界大戦時、ロシア軍に徴兵され、ドイツ軍の捕虜となった。音声学者のヴィルヘルム・デーゲン(Wilhelm Albert Doegen、当時215民族の音声などを収集)により、この歌が収録された。捕虜となり、祖国を遠く離れ、見知らぬ人々の前でアリランを歌わねばならなかった彼らの心情は、いかばかりだったろう。
▼「尚州アリラン(상주 아리랑)」を聴く。金素姫(김소희)名唱(명창)の本格的な歌だ。
現代のアリランについて次のような解説があった。
・昨年、ユネスコの人類の無形遺産にアリランが登録され、「多様な社会的背景の中で、継続して歌われ、ひとつの共同体のアイデンティティの証であり、社会的団結力を高めるものだ」と理由説明された。
外国人にもアリランは、韓国の代表的音楽である。小説「大地(The Good Earth)」の作家パール・バック(Pearl Sydenstricker Buck)も1963年、韓国を舞台とした小説「生きる葦(The Living Reed)」の表紙にアリランの文字で飾ったという。
また、今年は朝鮮戦争休戦60周年を迎える。1953年の休戦協定調印式の席(李承晩は欠席)で、韓国と北朝鮮が同時にアリランの演奏を行った記録がある。(・・・どのようなタイミングだったのか?)
▼「新アリラン(신아리랑)」を聴く。子どもの声は和む、いいなあ・・・普通の小学校の普通の子どもの歌なんですよね。それを見守る家族のやさしい眼差しすら感じてくるよ。この子たちが未来へ歌い継ぐ。