次の話は、重力を利用して、臼(うす)の中の米を杵(きね)で搗(つ)く作業の途中、ふと思いついたが、吟味不足のまま、すぐに披瀝してしまう「うつけ」がいる。粗忽さに通じる。
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ちっと、たくらだ(ばか)があって、人に向かって、「おれは日本一のことをたくみ出した」と吹聴する。「どんな事を」とたずねると、「されば。臼(うす)で米を搗(つ)くさまを見るに、下へ下る杵(きね)は役に立つが、上へあがる杵は無駄になっている。所詮、上にも臼をかいさま(さかさま)に吊って、それに米をいれて搗けば、上下両方の米がいちどに搗けて、杵の上げ下げがそつになるまい、と思案した」という。そのことばの終わらぬうちに、「その吊り下げる臼に米を入れるにはどうする」と問いつめると、「まことに、その思案はしなかった」。
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