昔、オープン・リール型のテープレコーダーが出たとき、録音された自分の声を初めて聞いた。思った以上に甲高い声に、重みのない気がして、少々落胆したものだ。
普段、自分の声だと思っているのは、口蓋や頭蓋の振動が加味されたもので、その分低目に聞こえるのだと、どこかで読んだような気がする。声の軽さを承知した後、自分の声を聞く機会もないまま過ぎた。
ランゲージ・ラボラトリー(LL)という、語学用機材を揃えた教室が学校にあった。今はどうなのだろう・・・当り前なのかな。そんな目新しさもあって、語学の発音練習用に、自分の声を聞く専用のマイク付きヘッドフォンというものが、市販されていた記憶がある。それを思い出したのだ。
専用ではなく、手頃にできないかと思い、ネット電話で使う安価なマイク付きヘッドフォンを調べたところ、PC上でイヤホンとマイクの両方を同時に使えると知った。
早速、近所のスーパーに出かけて、ネット電話用のマイク付きヘッドフォンを購入した。PC上で、Windowsのコントロールパネのサウンド設定を少し変えて試してみた。確かに、ネットの動画音声を聞きながら、自分の声をかぶせて聴くことができたのだ・・・が。
PCのサウンド機能を介して、自分の声も耳に入ってくるのだが、残念ながら発音と聴取に微妙な遅延が生じる。この遅延のために、Youtubeでイ・ソンヒさんの歌声を聞きながら一緒に歌うことができない。同時に歌ったつもりでも、自分の声が遅れる。問題はそれだけではない・・・とんでもないことに、凄い音痴さに気付いたのだ。他人に言われるよりも辛い・・・。
また、ネット上の語学教育用の動画に合わせて発音すると、遅延のため追いつかない。そこで自嘲するのだが、そのときの自分の照れ笑いが、本当に情けない。われながら不遜に聞こえてくるのだ。日頃のちょっとした物言い(照れや薄笑い)は、脳内で自動的に無視しているのだろうけれど、イヤフォンを通して、それがはっきりと聞こえる。
マイク付きヘッドフォンは、もしかしたら鏡に映る自分を見るように、自分の声質やしゃべり方まであからさまにするようだ。
後ひとつ、ヘッドフォンを長時間耳に当てていると、締め付けられるような気がしてくる。
(追記)
サウンド設定は、使用後元に戻したほうがよさそう。(ヘッドフォンを抜いた後、1回だけの現象なので何ともいえないが)PC再起動時に強烈なハウリング音がして、Windowsをセーフモードでリカバリーした。
(追記)
この遅延現象は、SpeechJammerに通じるようなものかな。