燦燦たる陽光、都心の最高気温は 28.7℃(13:15)に達したが、北北西の風に熱気は吹き飛んだよう。景色は澄んで鮮明、実に爽やか。そんな昼ころに、市民講座「ユダヤの歴史を学ぶ」に出かけた。
第9回の今日、東京理科大学講師 山本伸一氏から「オスマン帝国 のユダヤ人とユダヤ神秘主義:ユダヤ社会の変容」の解説をいただいた。
(本ブログ関連:”ユダヤの歴史を学ぶ”)
ユダヤ人は、ポーランドを中心に中欧に拡散したアユケナジム、スペインを基点に地中海(トルコを含む)に拡散したスファラディム、(キリスト教へ改宗した)マラーノなどがいる。その中で、オスマントルコに定住したユダヤ人について紹介された。
① ユダヤ教の伝統回帰
・ユダヤ人はオスマントルコ帝国で安定した生活を送る
- 非トルコ系・非ムスリムに対する「ミッレト制」によりユダヤ人自治が認められた
- 宮廷に従えたり、商人、医師、貿易商などに従事する
・安定した中から、ユダヤ教の伝統へ回帰する
- ユダヤ人の「シャブタイ・ツヴィ」は自らをメシアと語る
- イスラエルのガザの「預言者ナタン」は、ツヴィを原理的に最後(死後)まで支援した
- ツヴィはイスラムに改宗する(アルバニアに流罪の末、そこで亡くなる)
・ツヴィの継承者に、ポーランドの「ヤコブ・フランク」がいる
② ユダヤ教の神秘主義(カバラー)
・カバリストは、口伝聖書に隠れた10個の神の力を探求した
- ツヴィ亡き後、ムスリムになった(改宗した)ユダヤ人(ドンメ)たちの末裔が、後の「青年トルコ革命」に関わる
- トルコ建国の父「ムスタファ・ケマル・アタテュルク」は、かつてドンメの学校で学んだという
ある意味熱狂的な中で変遷したツヴィ、いつまでも彼を見守り肯定したナタンといった、両者の関係は、キリスト教世界にも見られそうだし、今の時代から見ても興味深い。小説家がインスピレーションを受けたというのも分かる気がする。また、ツヴィの流れが、トルコの近代化にどこかでつながっているような、ドラマチックな紹介にも関心が湧いた。