一日中寒かった。それが理由ではないが、上野の国立西洋美術館で開催中の絵画展へ出かけるのをあきらめた。北方ルネッサンスのピーター・ブリューゲルと同時代のルーカス・クラナッハの作品展だ。躍動的な広がりが特徴なブリューゲルと比べて、どちらかといえば静的な絵柄が印象的だ。特にクラナッハらしい描き方の、「ヴィーナス」*(1532年、シュテーデル美術館蔵)の釣り目がちな視線がいい。北方ルネッサンスの女性像は、イタリア・ルネッサンスのふくよかさと比べて、独特な繊細さがある。
(*) 「ヴィーナス」:リンク先のYoutubeで語られているドイツ語は分かりませんが。音声ガイドか?
(本ブログ関連:”北方ルネッサンス”)
ちなみに、「芸術新潮」今月(11月)号はクラナッハ特集をしている(同誌では「クラーナハ」と呼ぶ)。後日、美術展にうかがい実見したら、あらためて感想を記したい。
そんなわけで、寒さをいいわけにするのではないが、冬らしい曲を聴きたい。イ・ソンヒの5集所収の「冬哀傷(겨울애상)」(1989年)は、冬の夜に月明かりする庭のように冷え冷えした心象を歌う。ちょっと漢詩的な雰囲気もする。創作のきっかけはユニーク。
(本ブログ関連:”冬哀傷”、”イ・ソンヒの「冬哀傷」を作詞した場面”)
星明かりに澄み映える 私の悲しい顔よ
雁が鳴きながら 飛び去る 空を 見る
懐かしさ雪のように積もり 丘を転がり超えて
青い月明かり 降り注ぐ 私の空っぽの 庭に
*
風は木の葉を 吹きたてて 消えたが
なぜ痛く懐かしい小船は 私の胸に浮かんでいるのか
消すことが できないのか
冬になるとよみがえる姿
青く冷たい 私の愛
凍ってしまった悲しい後姿
(*以下繰り返し)
凍ってしまった悲しい後姿
次のYoutube映像は、慶尚南道昌寧郡の洛東江が流れる近くにある「牛浦沼(うぽぬま、우포늪)」だそうだが、墨絵のような光景が美しい。(資料:”Koreana”(日本語版)AUTUMN 2009 VOL.16 NO.2)
(Youtubeに登録のLinon Medien、ksj25374110に感謝)