年初のKBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(1/14)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズの第88回として、齢を重ねることを梅の花に例えた歌「梅花歌(매화가)」他にまつわる話を紹介した。
始めに、儒学者、退渓李滉(이황、1501年~1570年)が梅の花を好んだ話しを、次のように紹介された。
・冬の寒さが続く。昔、冬至が過ぎると既に春が始まったとされた。冬至を境に昼が長くなるからだ。学者(ソンビ、선비)は、この頃、ある花を待ち望んだ。「四君子(사군자)」すなわち「蘭菊竹梅(란국죽매)」の一つ、梅の花だ。気品に満ちて風格あることから、4種の植物を君子と称えた。朝鮮時代を代表する儒学者の退渓李滉は、梅花を大事にして、亡くなる最後の遺言が「あの梅の花に水をやってくれ」だった。
・梅の花の歌「梅花歌」は、歳をとることを嘆きながら、梅の花に例えて歌ったもの。
▼ 歌「梅花歌(매화가)」を聴く。自然の輪廻を高らかに歌っているようにも。(参考:Youtube映像、歌詞解説あり)
次に、約100年前の朝鮮後期に作られた独奏曲形式「散調(산조)」について、次のように説明された。
・冬のある日、窓際に梅花を一株植えた植木鉢とその反対側に火鉢が置いてある部屋で、風流を好むソンビは詩を作り、妓生が演奏する撥弦楽器「伽耶琴(カヤグム、가야금)」を楽しんだことだろう。
・散調は、パンソリや祭儀の時に演奏したリズムやテンポを基に、ひとつの楽器で演奏できるように構成したものだ。散調のテンポは、穏やかな「チニャンジョ(진양조)」<「チュンモリ(중모리)」<「チュンヂュンモリ(중중모리)」<「チャジンモリ(자진모리)」の順に速くなる。ゆっくりした出だしは、恨を抱くかのようにも聞こえ、次第に速く最後は恨を晴らして羽ばたく印象を与える。チャジンモリで奏した後、最も早いテンポの「フィモリ(휘모리)」に移り変わって奏する。
(参考)以前の放送内容: テンポ「長短(チャンダン、장단)」の取り方
▼ 伽耶琴散調の「フィモリ」演奏を聴く。軽快に撥ねるよう・・・風景にも心情にもいろいろ描けるのだろう。
(参考)以前の放送内容: フィモリの「フィ(휘)」は、動詞「吹き荒ぶ」(휘몰아치다)」から、「モリ(모리)」は、「音楽を思った方向に進めていく」という意味を持つ・・・とのこと。
最後に、画家の生涯を描いた映画「酔画仙(취화선)」(2002年)の中で、日本の笙とよく似た楽器笙簧(センファン、생황)と縦笛楽器の短簫(タンソ、단소)による二重奏が紹介された。
・詩作、書画をするソンビの文人画は、落ち着いた描き方が特徴で、単純な色彩で余白を生かしながら、しっかりと表現するソンビだけに通じた文化でもあった。
・数奇な運命をたどった朝鮮後期の天才画家、張承業(장승업、1843年~1897年?)の生涯を描いた映画「酔画仙(취화선)」で、張承業が妓生メヒャン(매향)と一緒に笙簧と短簫を演奏する。
▼ 笙簧と短簫の二重奏(笙蕭並奏(생소병주))による「水龍吟(수룡음)」を聴く。冷たい水を潜るような透明感がある。
(付記)
今夕、CDショップの電話があった。イ・ソンヒの「30TH ANNIVERSARY LEE SUNHEE LIVE」と、「1集(REMASTERING ALBUM)」アルバムが入荷したそうだ。でもねえ、この寒雨を撥ね退けて出かけるには躊躇したよ・・・「明日行きますから」と。