子安千代稲荷像(遠壽院) |
展示物に「子安千代稲荷像」があり、「稲荷」の名にひかれて鑑賞する。なまめかしく体をよじらせて横たわる狐の上に、この稲荷像が立っているわけだが、左手に幼児を抱き、右手に宝珠(玉)のようなものを持っている。頭に豪華な飾りがあって、これは何の像かと関心が深まる。
像の名の「子安」から、安産に関連するのだろうか。いずこ、いずれの世にも共感するものだ。ふくよかで穏やかな姿に安らぐ思いがする。
また「千代」*については、この像がはじめ何処にあったのかを考えれば、江戸城との関連について解説を目にすることができる。
しかし、なぜ「稲荷」なのかわからないけれど、ネット上に「子安稲荷神社」**もあるので、特別なものでなく、庶民にもいき渡ったものなのだろう。稲荷には神道系、仏教系ともにあるが、寺院におかれていることから、仏教系のものだ。もしかして、菩薩の姿なのだろうか。
(*)「千代」について、次の二つの解説から知られる。
① 上記展示に、「江戸城紅葉山に安置されていたものを、幕府瓦解後各地の寺院へ奥女中たちが避難させたと伝えられる仏像の一つ」とある。
② この像を、現在蔵している遠壽院の解説に、「江戸城内の大奥に祭られ、最後の老女・瀧山が給仕役を務めたもので、維新後当院に祭られた。江戸城を千代田城ともいったことからこの名がつけられている。遠壽院では、代々、将軍家の祈祷を行っており、その祈祷が大奥で行われたことのゆかりを示す。」とある。
(**)池袋シティガイドの「稲荷神社(子安稲荷神社)」などの紹介。
(本ブログ関連:"稲荷"、"九尾狐"、"狐の嫁入り")