一ヶ月前の今日(9/8)は、二十四節気の <草葉に「露」がつきはじめるころ>の「白露」だった。その露が、今日、二十四節気の <冷気により凍りそうになるころ>の「寒露」となった。露が凍るほどの寒さを感じるまで至らないが、最近の朝昼の温度差に驚く。今朝方から「くしゃみ」が止まらない・・・単に寝相が悪いだけだったかもしれないが。
ところで、「くしゃみ」の語源についてWikipediaによれば、「くさめ」と呼び次の漢字が使われたそうだが見たことがない。
「嚔」(くしゃみ)
「広辞苑」や古語辞典をひいても、Wikipediaの解説に及ばない。そこで、<語源>紹介部分をそのまま引用させていただく。
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日本語の「くしゃみ」という表現の語源は「嚔(くさめ)」という言葉で(中国語ではこの漢字を今でも使う)、古代の日本ではくしゃみをすると鼻から魂が抜けると信じられており、そのためにくしゃみをすると寿命が縮まると信じられていた。そこで早死にを避けるため「くさめ」という呪文を唱えるようになり、いつしかそれが「くしゃみ」という名前となり、その行為そのものを指すようになった。
くしゃみをするは「鼻ひる」といって、ひるは「放る」または「嚏る」と書いて、体内から鼻水やその他を放出することであった。清少納言が書いた『枕草子』の「憎きもの」第28段には
<鼻ひて誦文(ずもん)する。おほかた、人の家の男主ならでは、高く鼻ひたる、いとにくし。>
現代文:「くしゃみして呪文を唱える。大体、一家の男主人でもないのに、声高にくしゃみをするのは、本当に好きでない。」とある。
「くさめ」という呪文の語源ははっきりしておらず諸説あるが、
・陰陽道の「休息万命(くそくまんみょう)」や「休息万病(くそくまんびょう)」を早口に言ったもの
・くしゃみの擬声語の名詞化
・「糞食め(くそはめ)」が変化したものであるという説などがある。
上記のように、中世の日本ではくしゃみをした人、またはその近くにいた人が「くさめ」と言う習慣があった。1330年頃(鎌倉時代)に吉田兼好により書かれた『徒然草』の第47段には、
< ある人清水へまゐり(参り)けるに、老いたる尼の行きつれたりけるが、道すがら、「嚔(くさめ)、嚔」といひもて行きたれば、「尼御前、何事をかくは宣(のたま)ふぞ」と問ひけれども、應(こた)へもせず、猶いひ(なほ言い)止まざりけるを、度々(たびたび)とはれ(問はれ)て、うち腹だちて、「やゝ、鼻ひたる時、かく呪(まじな)はねば死ぬるなりと申せば、養ひ(やしなった)君(貴族の子)の、比叡の山に兒(ちご)にておはしますが、たゞ今もや鼻ひ給はんと思へば、かく申すぞかし」と言ひけり。/ あり難き志なりけんかし。> という記述がある。
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枕草子の例ではないが、先日、ある会場でくしゃみしたとき、口元にハンカチをあててさえぎることを忘れ、隣りの参加者に不快な気分をさせてしまったようで、思い返してはマナーの悪さにいまだに内心ざわつく。