以前(夏休み直前のころ)、帰宅する私の前を小学低学年の男の子たち3人が歩いていた。小学時代のこどもは真っ直ぐ歩けない。じゃれあって、横に広がったり、留まったりで、見ていてハラハラする。やがて、その中のひとりの男の子が、みんなと分かれて、私と同じ横道を曲がってどんどん先を進んだ。
そのとき、遠くで、ご近所のお婆ちゃんが路地に出て孫の帰宅を待っているのが見えた。
「お孫さんですか」とたずねた。たしか、3世代同居を始めたと聞いていたからだ。
「そうなんですよ、ちょっと帰りが心配で」と、孫を見つめながら応えた。
大人の会話の雰囲気を察したらしく、坊やは気安く話をできる相手と判断したのだろう、私にいきなり訊ねてきたのだ。
「おしり探偵知ってる」といって、なにやら「おしり探偵」の歌らしきものを歌いだした。実は良く知らないので、ネットで調べてみるからと返事するのが精一杯だった。突然、腕白目線の世界へ引き込まれてしまった。
子ども、とりわけ男の子は、お尻とか、ウンチ(うんこ)といった根源的下ネタが大好きだ。天真爛漫さは持ち上げすぎかもしれないが、かのモーツァルトも手紙にしたためたという。それが公認されたからという訳ではないだろうが、最近、書店で小学生向けの学習ドリルを見て驚いたというか、ニンマリしたことがある。素材(用語)に「うんこ」を多用する「うんこドリル」といったシリーズで、小学全学年に対応しているというのだ。
あの坊やは、見たところ一年生ぐらいだったか、「お尻」や「うんこ」への関心が絶頂期のころ。まして、できたばかりの友だちと話せば、これ以上愉快なものはないだろう。