野川に沿った国分寺崖線の「はけ(崖)」のもとに小さな美術館がある。ここは、今回もそうだが、地方の美術館と連携して、個性的な美術展を開催(巡回)することがあるようだ。以前、イギリス絵画展「風景への視線」を鑑賞したことがある。
(本ブログ関連:”野川”)
今回は「模写ー西洋絵画の輝き」というタイトルで、イタリアおよび北方ルネッサンスやロシアのイコン画を中心に、模写した作品が展示された。しかも、原画が作成された当時の画材・技法を踏襲することにある。
(本ブログ関連:”北方ルネッサンス”)
1階の展示室で目に飛び込んできたのは、ヤン・ファン・エイクの「アルノルフィーニ夫妻の肖像」の新婦図像部分だ。どこまで目を凝らしても精緻である。修復を踏まえた、原画の画材や技法にそった模写の技術の凄さを知る。まさに、模写とは原画を「材質」から忠実に再現することにあるようだ。
油絵具を開発したヤン・ファン・エイクの時代は、「テンペラ技法」から油絵の過渡期であった。今回の美術展は、テンペラの技法を中心に据えており、彼の他作品および同時代の画家たちのテンペラ技法による絵画の模写も展示されている。
こちらも油絵による模写だが、ピーター・ブリューゲル(父)の「鳥罠のある冬景色」も、目を皿にして細部(筆致)を眺めた。模写の取り組みが感じられてくる。そして絵画の見方が一層深まったような気がした。
(本ブログ関連:”ピーター・ブリューゲル”)