昔、大学受験生は、それぞれの大学独自の試験を受けた。それが、受験資格試験に相当するような「共通1次試験(大学共通第1次学力試験)」が加わって、今は「大学入試センター試験」と呼ぶそうだが・・・その仕組みがさっぱりわからない。
大量受験者を採点するのに、マーク式(OMR)が使われているが、記述式(OCR)の方は(技術的にも難度が高く)一般化しなかったようだ。マーク式の場合、選択肢式となるわけで、いろいろ批判があったようだけど(つまり正解が露出している)、やがて慣れたからか信頼性が高いからか、今は当り前になっている。
今年のセンター試験の「国語」(第2問)に、小池昌代の小説「石を愛でる人」全文から出題されているというので読んでみた。(問題の解答をチャレンジしたわけではない)
内容は、「水石」の愛好家(アイセキカ)であるテレビのプロデューサーらしき人物(山形さん)と主人公(わたし)のちょっとした付き合いが語られている。随筆、散文、スケッチといった筆致だ。仕事上の付き合いがきっかけで、水石の展示会への案内(呼び出し)、鑑賞後の居酒屋への誘いなどと話しが続く。
展示アトリエの入り口に置かれたパンフレット「水石の魅力」に次のように書かれている。
「水石は、趣味のなかでも、もっとも深淵で奥の深いものだといわれています。盆栽などとあわせて鑑賞されることも多いのです。/庭石のような大きなものでなく、片手で持てるような小さな鑑賞石をいいます。あなたも、水石の世界に、どうぞひととき、お遊びください」
水石鑑賞には、入れ子のような視点があって、小さな石の形状に巨大な山姿を空想する。石の隙間から雲が湧き出るといった幻想の世界へと誘うようだ。本当の水石好きの方には独自の世界観があるのだろうけれど、私には小さな石の奥、水が滲む先に桃源郷があるように幻視する。
(本ブログ関連:”石”)