KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(10/22)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズの第77回として、「煙草(담배:tobaco)」にまつわる話を紹介した。
始めに、朝鮮王朝22代国王正祖(정조/이산、1752年~1800年)と煙草のまつわる話しを次のように紹介された。
・正祖の代、文化が大きく花開き、煙草が伝わったのもこの頃。正祖は愛煙家と知られ、国の高官選抜試験に煙草について出題したほどだ。
・学問に優れ、ハングル創生の世宗(세종、1397年~1450年)の如く学問好きの王と知られた。国政に情熱を注ぎ、疲れも人並み以上だったろう。そんな彼の唯一慰めが煙草だった。読書以外に趣味はなく、若い時から学問にだけ没頭し、疲れをに眠れぬ夜も多かった。王位に就いて以来、病がひどく薬も効かぬとき、(日本伝来の)南靈草(남령초=煙草)だけが症状を和らげた記録がある、彼は煙を吸うと胸がすっきりしてよく眠れたと話した。
▼ (童謡)民謡「辛い唐辛子食べてめーめm、煙草の煙吸ってめーめm(고추 먹고 맴맴 담배 먹고 맴맴)」を聴く。(「めーめm」:子どもたちがぐるぐるまわり遊びをしながら唱える掛け声)
次に、正祖が愛した煙草の起源と伝来について、次にように説明された。
・正祖は、煙草好きだが、健康への影響は考えなかったか。煙草に、肺を痛める可能性があると、伝来時に知られていた。煙草を止めなかったのは、公務のストレスのためと推測される。
・1616年、朝鮮に煙草が伝わった。その数年後の1622年、身分や老若男女を問わず煙草が広まった。アメリカのインディアンに始まったとされる煙草は、1550年代後半、ヨーロッパで栽培されるようになり、その約50年後、既にアジア、朝鮮まで伝わる。南米のジャガイモがヨーロッパに伝わるのに200年近くかかったのに比べて、煙草は速く世界に広まった。
▼ 煙草の打令(타령)の歌「煙草打令(담바귀타령)」を聴く。たたみ掛けるように、次へ次へと移る。
最後に、煙草の商品化、風俗化にまつわる話しを次のように紹介された。
・当時、煙草は食糧にも深刻な影響を与えた。農家が米よりも煙草栽培を優先したからだ。米を作るべき田が煙草栽培の畑に変わったのだ。
・また、煙草は人の関係にも影響した。正祖の臣下、蔡濟恭(채제공)は、煙草に関わる出来事で、官職を辞そうとしたことがある。あるとき、道端で、乱れた服装で煙草を吸う若者の一団に注意したところ、反発した若者を結局捕えたが、彼らの友人たちが押し寄せ徹夜して座り込んだため、結局、煙草のせいで恥をかいたという逸話がある。
▼ 「煙草の害悪(담배의 해악)」を聴く。・・・