若い頃、図書館で読書や学習を始めようとするとき睡魔に襲われ、しばしまどろんだ後、急に頭の中に涼しい風が吹くようなスッキリした感になる。それからは、読書や学習が軽やかに進んだものだが、歳をとるとそうはいかない。もやもやしたまま、更にもやもやする。いつまでたっても、清朗な気分にならないのだ。
気分転換に、図書館の書棚からおもしろい本を探す。黄表紙の「桃太郎後日噺」(朋誠堂喜三二)を見つけて、挿絵をながめながら言葉がきを楽しむ・・・もちろん、注釈付きで。
桃太郎が連れてきた鬼と、老父母の下女との恋に横恋慕する猿の醜さもあるが、しまいには娘道成寺に変転したりして、ドタバタな展開もいいところ。
ネットに、この噺を史実の人間関係に即して説明するものがある。当時のひとには、何を風刺しているのか分かっていたのだろう。作者の朋誠堂喜三二が秋田の佐竹藩の藩士というのもおもしろい。佐竹藩は上から下まで開放的だったのか、器用な生き方ができたようだ。秋田は、歴史的に見て、東北の他県とは違った独特なものを感じる。