KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(7/18)に、人物シリーズ37回目として横笛のテグムの演奏家、趙昌勲(チョ・チャンフン、조창훈)を紹介した。
始めに横笛の管楽器「テグム(大笒:대금)」の(伝説と楽器)紹介から始まった。
・歴史書「三国遺事」(1270年代後半~1280年代中頃)にある、新羅時代(約1500年前)の伝説的背景に作られた楽器であり効能があったため、万事の萬と波、息の笛として「萬波息笛(まんぱそくてき)」(만파식적)と知られている。学者たちはこの伝説の楽器が「テグム」と推測している、そうだ。
(付記) テグム(名称/楽器)成立は、文献上どれくらい歴史を遡行できるのだろうか。
▼趙昌勲のテグムによる「清声曲(チョンソンジャジンハンイプ、청성자진한잎)」を聴く。楽器の特性を強調しているようで・・・気が緩まない。
(参考)박용호演奏の映像がYoutubeにある・・・こちらは穏やかで。(登録者koartny80に感謝)
・(上記より続き) テグムは、フルートと同じ横笛である。フルートの高く澄んだ美しい音色に対して、テグムは奏者の荒い息遣いまでもが音色となって聞こえる。即ちテグムは高音の際に、何か破れるような荒い音がする、他の伝統楽器にない特徴がある。吹き口と指で押さえる穴の中間位置に、清孔(チョンゴン、청공)という特有の穴がひとつあり、ここを葦から取った薄い膜で塞ぐことで、息遣いにより膜が震えて独特な音色を作り出す。
▼趙昌勲のテグムによる「重光之曲(チュングァンジコク、중광지곡)」の中から「相靈山(サンリョンサン、상령산)」を聴く。清孔の響きを強調すると、どこか大陸的でホーミーを想わせる。国楽の習い事で人気のある楽器として、男性に一番というのも分かる気がする。
1970年代に、趙昌勲と朴正煕(박정희)大統領との次のような逸話が紹介された。
・大統領に縦笛の短簫(タンソ:단소)を教えたことがある。しかし大統領が悲劇的な最期を迎えた後は、長い間、自らもソウルを離れ、地方で国楽団体を作り、細々と演奏活動を行っていた。
▼趙昌勲のタンソの演奏による「細靈山(セリョンサン、세령산)」を聴く。テグムに比べて、高音で明るい。素直な響きが、小中学校の音楽教材に使われているのが分かるような気がする。