イ・ソンヒとのインタビューが、連合ニュースの記事「<インタビュー> イ・ソンヒ 『歌は無心の作業・・・「Jへ」は今聞いても胸がキュン』」(11/4、キム・ボギョン記者)に掲載された。若いファン層への感謝、後輩歌手たちへ助言、そして彼女の今後についてなど、31年間つちかった音楽経験を交えて聞くことができる。
イ・ソンヒの語り(=音楽観)には独特のものがあるという。以前、別のインタビュー記事にも、成程とうかがい知るような記述しているものがあった。今回は、どうだろうか・・・記者も苦心されたようだが、読み進むうちにイ・ソンヒらしさがやっぱり感じられてくる。妙に安心する。
(本ブログ関連:”イ・ソンヒ インタビュー”)
ところで、現在は充填期のようで、次ぎのアルバムまで時間がいるようだ。少々待ち遠しい気がするが楽しみである。
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「音楽は私を記憶する人との疎通(コミュニケーション)・・・若いファンたち感謝する」
「声は私だけの楽器・・・他の人が出てきて違うことを認めなきゃ」
イ・ソンヒは、誰もが自信をもって「国民歌手」と呼ぶことができる、数少ない歌謡界の巨匠中の一人だ。
1984年、「第5回 江辺歌謡祭」で、「Jへ」で大賞を獲得してデビューした彼女は、翌年1集のタイトル曲「ああ! 昔よ」を始め、「秋の風」、「分かりたいです」や、「私はいつもあなたを」、「ひとしきり笑いで」などをヒットさせて、1980年代の代表的ディーバ(歌姫)として座をつかんだ。
彼女は小さい体躯から出る爆発的な歌唱力でファンたちをひきつけて、初の<姉さん部隊>(=中高女学生ファングループ)を誕生させたりもした。
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1990年代にも着実に新曲を発表したイ・ソンヒは、2011年、米国カーネギーホールのアイザック・スターン・オーディトリウムで単独コンサートも開いた。昨年(2014年)には、デビュー30周年を記念して、正規15集「セレンディピティ(Serendipity)」を発表した。
最近、イ・ソンヒを、ソウル江南区清潭洞の所属事務所(=フックエンターテインメント)の建物で会った。TVよりはるかに若く見られる容貌に記者が驚くと、すぐに彼女は、「私がTVによく出てないからよ」と冗談を言った。
まず、最近の近況を尋ねた。イ・ソンヒは、昨年3月アルバムを発売するやいなや、全国ツアーコンサートを開いて1年余りをファンたちのそばで過ごした。今年には、光復70年記念番組のKBS「私は大韓民国」に出演して「1945合唱団」を指揮したりもした。
「いま、やっとスケジュールがまばらになりました。昨年は一年中公演して、今年は『私は大韓民国』を準備するために緊張を解くことができませんでした。番組が終わって、およそ2週間患いました。そうして、ちょっと日常を楽しんだのです。休む時、したいことなどをリストに書き込みました。今は、それらをしに歩き回るのに忙しいですね。 (笑い)」
彼女は歌手として31年を生きた。短くない時間の間、彼女は歌と喜怒哀楽を一緒にこなした。イ・ソンヒにとって、音楽はどんな意味であろうか。気になってきたところで、単刀直入に尋ねた。
「音楽は一種の疎通(=コミュニケーション)でしょう。歌う人は、歌で自分を表現します。私が過ごした時間にどんな考えをし、何をいいたいのか、結局、歌で語るんです。結局、私を記憶する人とずっと疎通(=コミュニケーション)するんです。」
数えきれないほど舞台に立って、ファンたちに会いながら、おのずから記憶に残る瞬間も多かったはずなのに。質問を投げると愚問賢答(=愚かな問にも賢く答える)が返ってきた。
「留めておく性格ではないので、何かを入れれば続けて注ぎます。歌もそうですよね。感情を続けて注ぎます。それで、うれしくても悲しくても、感情はその瞬間にだけ残るもののようです。そうするうちに、あえて過ぎ去った時間に何が残ったかどうか執着しない方です。」
このような回答を聞くと、気軽に他の質問をするのがためらわれた。だが、質問を止めることができなかった。発表した曲中、最も愛着がある曲を尋ねると、自然に「Jへ」という回答が出てきた。
「私はこの質問を受けたら、いつも『Jへ』と答えます。このように淡々と話しているけど、本当に『Jへ』は、今聞いてもキュンとします。おのずから過ぎた時間を振り返り見させる歌なんです。」
この他にも、最近、彼女の口の中で巡る歌がある。昨年発表した15集収録曲「今になって(이제야)」だ。「その時は分からなかったのでしょう/すべてを知っていて思ったが、愚かにも/感嘆符、休符も、そこに込められていることを」、という歌詞がなぜか胸に迫る。
「最近、私が元々進んだ方向からちょっと違うように、方向を定めました。そのように決めて見たら葛藤が多くなりました。すると、私も気づかぬ内に、この歌を口ずさんでいましたよ。この歌をしきりに歌うのを見て、私の視線が変わったことを感じます。」
イ・ソンヒといえば浮び上がるイメージがある。短いショートカットにメガネ、ズボン、スーツがそれだ。常にズボンだけはく彼女を見て、ファンたちは「イ・ソンヒの脚に大きい傷跡がある」とひそひそ話したりもした。彼女は、デビュー後7~8年間、素顔で放送に出たりもした。
一つのスタイルに固執した理由を尋ねると、「その時は、ただそれが良かった」という素っ気無い反応が返ってきた。
「今考えれば大したことないのに、その当時、瞬間瞬間ぶつかることが多かったです。化粧もして、メガネも外せというのが何となくいやだったんです。『歌う人が好きなスタイルで行くべきなのに、私がなぜあの人たちに従って行かなければならないのか?』という問いを持ち続けました。それで、固執半分、反抗心半分でずっと押し進めたら、そのまま私のスタイルに固まったんです。ところで、そうなるとそのスタイルが嫌いになりましたよ。(笑い) そのまま、その時その時やりたい通りに自然に従ったようです。」
イ・ソンヒの公演会場に、中壮年層の観客だけ訪れると考えると相当な誤算だ。彼女のコンサート会場にはいつも20~30代の観客で賑わっている。特に映画「王の男」のオリジナル・サウンドトラック(OST)に収録された「因縁(인연)」という歌が大ヒットを記録して、彼女は若い世代に名前を知らせた。イ・ソンヒが手紙好きという話を聞いて、直接、書いたファンレターを送る少女ファンも多い。
「公演会場で、観客席を見ればびっくりです。以前よりも観客が若くなっているとはっきりしてるんですよ。とてもありがたいことです。」
「最近、若いファンの意思表明が本当にどんどん目立ちます。公演レビューの掲示板も念入りに調べる方ですが、反応を見ればとてもおもしろいです。(笑い) 私を<姉さん>と呼ぶ中学生ファンがいるのだけど、自分のママも私を<姉さん>と呼ぶといいましたよ。そうしたところ、『うちの母さんも<姉さんファン>なのに家系図がどうなるのでしょう?』と尋ねたこともあります。」
イ・ソンヒは、MBCオーディション番組「偉大なる誕生2」で、メンターを引き受けるなど、後輩たちにも格別の愛情を注ぐ。しかし、最近の歌謡界を見ると物足りなさも大きいといった。<江辺歌謡祭>出身である彼女は、最近の雨後の竹の子のよう生じるオーディション番組を見ると、特にそのような感じを受ける。
「当時、<江辺歌謡祭>や<大学歌謡祭>は、私たち同士の祭りのような感じでした。もちろん決勝、準決勝と進んで競争したりしたが、みんな歌が好きだったし、お互いが違うということを認めましたよ。ところで、最近は本当に競争だけします。皆がみな違っているんですけど、私だけ頑張らなきゃという考えをするようで残念です。1、2位を獲る瞬間に歌手になるのではないのにね。」
彼女は話を続けた。
「声は私だけの楽器です。他の人が私より歌をもっと上手だとしても、私の場所を持つのではありません。全てみな違った声を持っていますね。自分だけの声を持ってこそ、より豊かに生きていけます。グルメ通りを考えてみてください。一つのレストランでなく、多様なレストランが集まっているので、多くの人が訪ねてくるのじゃないの。他の人が出てきて、違うということを認めれば、全てみな上手くやれます。」
イ・ソンヒは、後輩たちが尊敬して似たがる巨匠の中のひとりだ。それだけに最近のTVをつければ、イ・ソンヒの歌をリメークしたり真似て歌う歌手をよく見かける。そのような姿を見て、本来本人はどんな思いがするのか気になった。
「最近の後輩たちは本当に音楽が上手いです。以前には良いものを表現する方法も知りませんでした。また、音楽される方の多くが付き従う音楽をしましたよ。ところが最近は、音楽で上手く表現する世代になりました。私の歌を、後輩たちが歌ってくれたら余りにもうれしいです。それを聞いて、『あんな方向にも歌を歌うことができるのだろう』と感じたりもします。しかし、私が歌った方式そのままに歌う後輩を見ると、上手いとは別にちょっと物足りないです。」 そのような後輩に、先輩としてしたい助言はないだろうか。
「とにかく経験するんです。編み出すというのは積もることで、積もれば吐き出すことができなければなりません。音楽をする人たちは、音楽に吐き出さなければなりません。もちろん競争が全てではないが、そのような過程を勝ち抜くのも必要です。だが、記憶しなければならないものがあります。人のために、私がだめなものなんてありません。人もなるし、私もなるんです。」
インタビューを進めて、31年(=デビュー31年目)の内面はやはり違うという考えが頭の中を離れられなかった。急がず自身の考えを一つ一つ明らかにする、彼女のカリスマに圧倒される瞬間も多かった。一時間余りのインタビューを終えて、今後の計画をたずねた。「小さい巨人」イ・ソンヒの答はやはり特別だった。
「以前には、男性と女性の声を同時に持つ少年のような声だったとしたら、今は女らしい声になりました。そうするうちに、そこに合った歌を歌うことになったし、声も澄んだのですよ。私は今、50代以後にどんな歌を歌うのか悩んでいます。次のアルバムですか? アルバムを出すというのは無心にする作業です。それで何かいっぱい満たしてようやく、結果に結び付けられます。ところで今は、満たせる時間が長く続かなかったです。それで当分は計画はありません。」
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(Youtubeに登録のqueen sallyに感謝)