江戸時代の商品売買の支払いは、「掛け売り」といって盆暮れに後払いする方法だったという。そこで盆暮れに、代金を回収することを「掛け取り」*といった。
(*)Japaaanサイト: 「江戸時代のツケ事情。掛け売りが一般的なお江戸の盆暮れは借金の取り立てが大忙し!」(2018/08/10)
https://mag.japaaan.com/archives/78958
この掛け取りを、「掛乞(かけごい)」とも呼んだ。「日々の歳時記」(広瀬一朗、中日新聞東京本社、昭和五十五年【1980年】七月一日 初版)の「12月30日」の項に、歳末の集金の掛乞を <暮> の季語としている。
同解説に「江戸小ばなし」の <かけごい> が、次のように紹介されている。(ネットを探したが、同小ばなしの紹介が見つからない)
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大みそかの夜、橋の下のこじきの女房が「ああやかまし。橋の上の人通りは 何だね」。「知れたことよ、掛乞さ」と亭主。「この寒い夜中に 大ていじゃないね。それよりこうして寝てた方がマシか」の女房の言に、亭主、頭をもたげて「それは だれのおかげだ」
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旧暦の十二月を「師走」、年末を「歳末」、十二月の最後を「大晦日(大みそか)」と呼んだが、言葉を聞いただけ慌ただしくなる。
ところで、後払いの方式で、月ごとに返済するのを「月賦」と呼んだ。それを、カタカナ表記で「クレジット」と洒落ていい直したのが、月賦百貨店の「丸井(〇I〇I)」だった。今は一般名称化している。