昨日(5/26)のブログに、「キトラ古墳の天文図」を紹介するテレビ番組について話題を記した。そのつづきである。
番組中、「老人星(カノープス)」が幾度か紹介された。この歳になると、「老人星」という言葉だけで妙に反応してしまう。気になって、ネットに情報を探した。
「キトラ古墳」の天文図は、「三重の円同心(「内規」・「赤道」・「外規」)」と「黄道」で構成されている。その内の「外規」(その土地で見える天の範囲*)の端に描かれた一つの星「老人星(カノープス)」について、番組で「限られた季節に地平線ぎりぎりにしか見えないため、見ると長寿になれると珍重された星」と紹介している。
(*)「天文との出会い 第12回 「奈良と天文」」(中川昇)
老人星(カノープス)は、したがって「南の低いところ、地平線からわずかにしか顔をのぞかせない星」であり、「南の地平線・水平線が見えているような開けた場所」がある、東京以南の緯度の地域で見られることになる**。
(**)「全天で2番目に明るい恒星「南極老人星」カノープスを見つけよう!」(縣秀彦)
南の地平線に見られるこの星は、「南極老人」との名も持ち、「七福神」のモデルともいわれている。「老人」は、ときどき現れる希少さ、めでたさがいいのかもしれない。しょっちゅう出ずっぱりではうるさい・・・、昔から、神仙に一歩踏み入れたほどの存在が、身の置き所として最もよいというもの。ひしひしと実感する。
ちなみに、老人星(カノープス)は、太陽を除く恒星中、「シリウス」に次ぐ明るさを持つ一等星。シリウスなら冬の空に煌々と輝くのが見られるが、老人星については、熱心な天文ファンでないため見た記憶がない。いつか見てみたいと思っている。
ところで、天文図の伝播を文化が熟すという意味で考える。同一文化圏なら、情報を受け取る側も、それに見合う文化が熟成していることが前提だろう。宇宙人がいきなり飛来して伝えるというわけではなかろうから。受容力が存在していることを、そもそも実証するに十分な研究成果がまだ出ていないだけかもしれない・・・と、素人ながら考えてしまう。