KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(2/12)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズの第43回として、旧暦1月15日(満月)の「小正月 (정월대보름)」にまつわる話を紹介した。
まず始めに、小正月の民俗行事の紹介から次のように始まった。
・年中行事の半分以上が正月(陰暦1月)に集中する。新年の始まる月であり、農業も休み、羽根を伸ばす季節だ。小正月は、旧正月よりも風習が多く、人々に意味が大きかった。
・陰陽の考え(空・太陽・男性・火などは陽、地・月・女性・水などは陰に分ける)により、満月は女神であり、地・水のイメージが重なり、出産・豊饒を司ると信じられた。小正月(満月)の日、村には風物(プンムル、풍물)を奏する一団が家々を回り祝った。当日、村人が作ったタルチプ(달집)の薪の山に火をつけたり、子供たちは畦や畑などに火を入れた。
▼ 創作打楽器グループ“Puri”による「キルグンアク(道軍楽、길군악)」を聴く。・・・どこか耳慣れた今様な。
・この「キルグンアク」は、軍隊行進の演奏を起源とするが、昔は名節を向かえる度に、風物牌(プンムルペ、풍물패、牌=集団)という演奏集団が村を回って演奏した。
(次に、小正月にまつわる風習について、次のように説明された)
・朝鮮時代、金昌業(김창업, 1658年~1722年)の詩に、小正月の夜に、「今晩、橋の上で足踏みをして遊ぶのだ」と記載がある。この日、橋を足踏みして渡ると、一年間、両足が丈夫だと信じられた。橋(다리)と足(다리)とが、同じ文字からきた風習のようだ。
・この機会に、家にこもっていたヤンバンの家の女性も外出したし、彼女たちを見ようと男たちも集まり、橋の上は混み合ったという。人々が集まるこの日は、大道芸人に稼ぎ時で、道端でパンソリの歌い手の大きな声が響き渡った。
▼ 「前山打令(앞산타령)」を聴く。山々の名を込めて・・・ゆったりして、これで小正月の踏橋遊びを?
最後に、小正月の遊びや演劇について次のように解説された。
・カンガンスルレ(강강술래)やウォルウォリチョンチョン(월워리청청)などは、小正月の女性の代表的な遊びだ。女性たちが月光を浴びながら丸く円を描いて立ち、歌を歌い踊る。豊作を願う意味が込められたという。女性たちに過酷な時代に、小正月とチュソク、一年にこの二日くらい、名節を口実に思いっきり遊べた。
・綱引きも地域により様々な形で伝承された。村の男女が両端に別れて綱引きをする。女性が勝てば豊年と信じられた。
・夜になると、仮面劇(タルチュム、탈춤)が始まる。踊りと音楽を共に楽しむ、一種の演劇といえる。農民に君臨したヤンバンを馬鹿にしたり冷やかして笑うが、この日ばかりはヤンバンも口を挟まぬのが暗黙の了解だった。
▼ コムンゴ・アンサンブル“Geomun”による「タルハ(달하)」を聴く。インドネシア、中国・・・響きは今様に広がる。