KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(1/15)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズの第39回として、日本の道祖神にも似た「長丞*(チャンスン、장승)」にまつわる話を紹介した。
(*)長丞: 別名「将軍標」、近くでは高麗駅および高麗神社で二柱の境界標を見る。
まず始めに、長丞の姿と役割について次のような紹介から始まった。
・長丞は、手足もなく、ぶっきらぼうに突き立ち、顔だけギョロッと飛び出た目玉と、平べったい団子っ鼻が刻まれている。犬歯を突き出し、泣き笑いか分からない奇怪な表情だ。
・昔は村の入口に男女対の長丞が立ち、男の長丞は「天下大将軍」、女の長丞は「地下女将軍」の文字が体に刻まれ、村を守る役割をした。長丞の表情を滑稽・奇怪というが、見る人の心の投影かもしれない。訪れた人物が善良な場合はこれを歓迎し、悪徳な場合は足止めさせ戻るよう祈願して作られた。
▼ 「赤壁歌(적벽가)」*の中から「長丞打令(장승타령)」を聴く。敗走の曹操(조조)が長丞を押し倒したそうだが・・・
(*)赤壁歌: 「韓国人の情緒に合わせて創作または修正された部分も多い」(Ko-wikipedia)
この歌では、同じ木から生まれても、長丞となった不遇の身を嘆く。とはいえ、長丞は道端に立ち道標の役割も果たした。
▼ 「ピョン・ガンスェ(변강쇠)打令(타령)」を聴く。ピョン・ガンスェが長丞を薪にしてしまう・・・この歌でも、長丞はその身を嘆くとか。そこに、「横負歌」とかイロイロ情報が耳に入って・・・。ところで、歌声は読経の如し。
次に、長丞の起源や地域性について次のように解説された。
・長丞の起源や由縁について、確かなことは不明だが、古代の性器崇拝信仰や、民間信仰のひとつの「ソンドル(선돌/입석, 立石)」、「ソッテ(솟대)」の風習からという見方が有力のようだ。また、トッケビ(도깨비)という鬼顔や、土俗的な仮面のイメージにつながるという考え方もある。
・長丞は、地域によって素材や顔の形が少しずつ違う。①湖南(ホナム:全羅南道と全羅北道の総称)や嶺南(ヨンナム:慶尚南道と慶尚北道の総称)の南道地方では石像が多く、平たく丸みを帯びた南方系の顔。②京畿道や忠清道地方では主に木像で、顔が長く目が切れ長で、鼻も長い北方系の顔。狭い国土の中、多様な文化が混じり合い発展したことを、長丞の顔つきからも推測できる。また、③済州島では、「トルハルバン(돌하르방)」と言われる石像が、長丞の役割を担った。このトルハルバンは本土の長丞の奇怪な姿と異なり、自愛に満ちた表情で、島に来る人々を迎える。
▼ 済州民謡「シナウェギソリ(신아외기소리)」を聴く。労働歌ながら子どもにも馴染みやすい歌で、今様編曲ながら楽しい。