KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(9/12)に、人物シリーズ45回目として風流音楽(풍류음악)の伝承者で、管楽器テグム(大笒:대금)の若き奏者である金政丞(キム・ジョンスン、김정승)を紹介した。
「郷制(ヒャンジェ)弦(ジュル)風流」の紹介から始まった。
・方言のように、歌も地域ごとに少しずつ雰囲気やメロディーに違いがある。教養人の「風流音楽」も、地方に伝わるうち少しずつ変化した。
・「風流音楽」中、特に弦楽器が中心となる楽曲を、弦=ジュル(줄)と合わせて、地域ごと特色ある「ジュル風流」と呼ぶ。さらに故郷の郷=ヒャン(향)と、制度の制=ジェ(제)を合わせて「ヒャンジェ・ジュル風流」と呼び現在唯一、全羅北道地方に今なお強く息づいている。
風流音楽の継承者、金政丞について次のように紹介された。
・現在、注目を浴びているテグム奏者の金政丞は、風流音楽の技術と精神を受け継いでいる。
▼金政丞の管楽器タンソ(短簫:단소)ほかによる「平弄(ピョンロン、평롱)」を聴く。緩やかに流れるピアノの響きに合わせて、タンソの音色がのどやかな気分に浸らせる・・・モダンな感じで。
次のように金政丞のプロフィールが紹介された。
・祖父の金茂圭(キム・ムギュ、김무규)は、全羅南道求禮(クレ)地方に伝承された「クレ・ヒャンジェジュル風流」の芸能保有者で、タンソ演奏にも長けたという。1990年代に国楽ブームを巻き起こした映画「西便制」に、弦楽器コムンゴを演奏する老人役で登場した。
・この祖父を持つ金政丞は、同年代の多くの若手演奏家が大衆と調和を図り、フュージョン音楽に関心を持つケースが多い中で、国立国楽院の正楽団と風流音楽を受け継ぐ正農楽会で、宮中音楽と風流音楽の伝承に専念している。
・一方で、現代音楽アンサンブル活動も行い、現代の韓国音楽の発展にも尽くしている。紹介する音楽は、伝統的なメロディーをそのまま生かし、ピアノやチェロなどの伴奏を加える形式である。
▼金政丞の管楽器トゥンソ(洞箫、퉁소)ほかによる「獻天壽(ホンチョンス、헌천수)」を聴く。・・・とてもソフィストケートされて。
上記「獻天壽」の演奏について解説された。
・宮中音楽、民間の舞踊音楽としても演奏されていた一曲。宮中音楽として演奏される場合は主に、センファン(笙簧、생황)とタンソの二重奏か、ここにヤングム(洋琴(楊琴)、양금)」が加わった三重奏で演奏されることが多い。金政丞は、民間で広く親しまれていたトゥンソを使って演奏している。
▼金政丞の管楽器テグムほかによる「淸聲曲(チョンソンゴク、청성곡)」を聴く。ピアノを水琴窟のように脈を打たせて、古風にテグムの高音を響かせる・・・。