KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(12/2)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、古代三国時代のひとつ、<百済時代>の遺跡地区が世界遺産に登録されたことに関連した3曲を紹介した。
始めに、百済(紀元前18年(神話)~660年、백제)の概要について次のように紹介された。
・百済の領土は、漢江流域から中部の忠清道と南部の全羅道を含み、日本とも緊密な関係を持った。滅亡後は統一新羅時代となる過程で、その歴史の多くがベールに包まれたが、僅かな遺跡と遺物、記録や物語りが継承され、美しい文化を有していたことが分かる。百済滅亡後、国を失った遺民の悲しみはいかばかりか。国楽に、彼らの悲しみの歌ある。
▼ 忠清南道にあった夫餘の田植え歌「山有花歌(산유화가)」を聴く。呼応して歌い合う農事の民謡は気持ちが良い。
次に、遺民と(高麗時代に記載の)新羅の「卿歌(郷歌、향가)」にある「薯童謡(서동요)」について次のように紹介された。
・新羅と中国の唐との連合軍に敗れた百済は、多くの遺民ができ、王族や一般民が唐に連れられたりした。人々は川の入り口、南堂山に登り見送ったその日が8月17日だ。人々は8月16日にこの山に登り、去った人々のため祭祀を捧げ、唐からの知らせはないかと集まった。以来、この日は遠くに住む親戚が集まる日に変わる。また「卿歌」にある、百済に関する歌「薯童謡」は、百済の武王が王位につく前の若いころ、新羅の善花姫との結婚のため作った歌という。リズムは消え、歌詞だけが伝わる。
▼ 脚色した歌「綿のような善花姫(햇솜 같은 선화공주)」を聴く。お月様、お星様、キラキラ響くよ、今様の可愛い童謡。
最後に、「三国遺事」(1270年代後半~1280年代に記述)の薯童(後の武王)と善花姫の話について次のように紹介された。
・「三国遺事」に、百済の薯童は貧しい田舎の出身で、善花姫が美しいと噂を聞き、あてもなく新羅に向かう。そして、善花姫が夜中に薯童と会いに出かけるという歌を子どもたちに歌わせた。歌は一気に慶州に広まり、姫は王宮から追い出され、薯童と姫は結婚(姫は後に王妃になる)するという話しだ。
全羅北道の益山の「彌勒寺」に、韓国で一番で古く大規模な国宝の彌勒寺址石塔がある。武王と善花姫が建てた寺との伝説もあるが、最近の発掘調査では、百済の貴族の娘とも言われる。そうならば、善花姫は誰だったのだろうか、いつかその真実が明らかになる日も来るだろう。
▼ 月の歌「月よ(달하)」を聴く。昔を思い浮かべるような響きする、今様である。
(追記) 「アリラン・ファンタジー」
今晩、新宿の初台にある「オペラシティー・コンサートホール」で、日韓国交正常化50周年記念(主催韓国(外交部)大使館、後援日本外務省)の「アリラン・ファンタジー」公演の鑑賞に出かけた。韓国「国立国楽管弦楽団(국립국악관현악단)」がメインの演奏を行ない、他に日本の琴(木村玲子演奏が凄い)、テグム(大笒:대금)、ピアノなどとのコンチェルトがあった。
国楽に興味を持って以来、気になっていたのが韓国国立国楽管弦楽団だ。一体どのような演奏を中心にしているのだろうか。宮廷音楽のような正楽風の演奏なのか、あるいは伝統楽器を洋楽のオーケストラ・パートに配置する洋楽風の演奏なのかということだった。結果は、後者すなわち、伝統楽器を使って国楽の伝統曲・新曲を洋楽風に演奏するようだ。
今の時代、韓国国楽へ関心を向ける使命のためにも、聴きやすく馴染みやすい最適な演奏スタイルかもしれない。その意味で、洋楽主体の生活をしている都会人には、ゆっくり耳を傾ける良い機会になった。
今までに聴いたことのない楽しい曲があった。京畿地域の巫俗音楽をテーマにした「シンネリム(神憑りの儀式、신내림)」だ。実に軽快で引き込まれる。次のYoutube曲で同様な経験ができる。五線譜で演奏しているのが分かる。(なお演奏は「江原道立芸術団」とのこと)
(Youtubeに登録の권용석に感謝)