多分、至極若い頃に耳にした、与謝野晶子の、「清水へ祇園をよぎる花月夜 こよひ逢ふ人みな美くしき」(歌集「みだれ髪」、1901年)は、想像を掻き立てる視覚的な歌だ。
花見の中でも、とりわけ夜桜見物は、人を惹きつける共感深い習俗だ。夜の灯り、人の波にもまれ、不思議な高揚感がある。春の夜は、若者を上気させ、夢心地に誘う浮橋のようなもの。でも、この季節は、重ねてこそ知るものがある。
神野美伽の「夜桜善哉」(作詞:荒木とよひさ、作曲:金賢奎、編曲:南郷達也、1999年)は、この季節に相応しい。睦まじい夫婦(めおと)にとって、春を再び確かめ合うよい機会になるかもしれない。
(本ブログ関連:”神野美伽”)
(Youtubeに登録のkece3に感謝)
(追記)
夕方の帰り道、一陣の風に木蓮の花弁が次々と落ちてきた。散るという風情はなかった。薄曇りの空、寒さが増したようだ。驚いたことに、小学校の垣根の桜が、花を散り始めた。一部、地面に散った花弁が舞い上がったりもした。あっけない終わり方をしているように見えた。何としても、桜の散り際を眺めておきたい。