流行は、雑誌(紙)、ラジオやテレビ(無線)、インターネットなど媒体が進化して、消費の時差をなくしてきた。新しい流行が発生するさまを、まるで傍で見るようになってきたのだろう。それでも、流行の発信地は、あまり変わってないようだが。
昔、母親から聞いたことで、昭和の始めころ、東京のファッションが九州に届くのに1ヶ月ほどかかったという。私が子どもの頃は、アメリカのポップが日本に流行るのにやっぱり時差があった・・・それがどれくらいかというと音楽事情をよく知るわけがなく何ともいえないが1ヶ月くらいだっただろうか。ラジオから流れる、ビルボードやキャッシュボックスの最新順位に耳を傾けてはメモをした・・・子どもの間では、曲名だけでも十分知った振りができたわけで。
ところで歳を重ねると、流行に目が向かなくなり、時間差も気にしなくなる。例えば「ことしの流行語」も、いわれれてみれば、そんなものがあったねと振り返る程度。大晦日の晩の番組「紅白歌合戦」も同様なわけで・・・初めて聞くものが増えてくる。
流行に敏感でなくなる・・・だから、歳をとるという実感は、流行り廃りよりも変わらぬものに、受け継がれるものに関心が向くことから気付く。昔から、年寄りが古典を読めといったのもよくわかる・・・解説、評論本でなくて、原典(原本じゃないよ)を読まなくちゃ・・・こういうのを、老いの繰言という。