雨雲のためくすんだような夕刻、小雨がぱらつくなかを帰った。家に近づくと、辺りに物を焦がすような香りがした。そのとき、ご近所の門のかたわらで「迎え火」をしているのに気付いた。今日は「精霊会(しょうりょうえ)」である。
精霊会は、今月13日から16日にかけて先祖たちの霊を祀(まつ)る仏事で、「盂蘭盆会(うらぼんえ)」ともいう。これは、いわゆる「お盆」の時期であるが、一般に新暦8月に行なうのが通例(実質、旧暦相当日に合わせたもの)。とはいえ、今日、迎え火をする家もある。
子どものころ、お盆の時期が来ると、客間に盆提灯が飾られ、うれしくて客間を覗き込んだものだ(昔の家の客間は、子どもたちが普段出入りする部屋ではなかった)。お供えものの落雁菓子が、行事が終わると食べられる楽しみもあったからだ。そういえば、何度かお坊さんがお経をあげに来たのも思い出す。祖父母がつづけて亡くなり、しばらくの盆の行事だったのだろう。
(本ブログ関連:”お盆”)
それにしても、わが家で迎え火をした記憶はない。だから、今日、ご近所のそれがとても新鮮に見えた・・・毎年されているのだろうけど、わすかな時間なので、今まで、目にすることも、香りをかぐ機会もなかっただけのことだろう。