ハロウィンを知ったのは、だいぶたってのこと。高校時代に、レイ・ブラッドベリ好きがいて、作品を紹介されたのがきっかけだ。
最初に読んだ、ブラッドベリの短編集「10月はたそがれの国」(創元SF文庫)の表紙に、ジョーセフ・ムグナーニ(Joseph Mugnaini)による、捻じ曲げられたように古びた陰気な家屋が描かれていたのを記憶している。ファンタジー・マニア好みのイラストである。
ブラッドベリの作品に、ハロウィンを題材にした物語がいくつもあるが、そこには邪悪なものが漂うマジカルな印象が共通する。見えないものが見えてしまう子どもたちの恐れをハロウィンは抱えている。ハロウィンの夜、だが重く塗り込められた暗闇に対する子どもたちの視点をブラッドベリは忘れていない。
そんな印象があってか、今流行の「ハロウィン」にはちょっと違って、若者たちのお祭りのようなものを感じる。ファッション・ショーなどのイベントで、「ハロウィン」舞台に立つ子役たちが怪しい衣装を着ても、実際ご近所を夜な夜な菓子もらいに巡る彼らと会うことはないだろうし・・・今のところ。
闇にうごめく邪悪なものを感じさせないハロウィンは、子どもたちの心に残るだろうか。
(本ブログ関連:”ハロウィン”)