桜並木の緑がますます深くなった。この通りは滅多に車も来ることがない。まさに緑陰の風を楽しむ場所である。訪れるたび、それを実感する。見上げると、葉が繁り重なり合って、木漏れ日も微かになるほど。まるで緑色の陰に覆われたような錯覚をする。
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桜並木を見上げる |
深くて濃い緑の光景に接すると、イギリスの風景画家「
ジョン・コンスタブル(John Constable)」(1776年~1837年)の絵画を思い出す。彼の絵に、勝手なイメージだが、太陽の明かりを求めながらも描くほどに緑の陰が重くのしかかってくるようなジレンマを感じる。ある意味で光を直接追い求めた、同時代の画家「
ウィリアム・ターナー(Joseph Mallord William Turner)」(1775年~1851年)と対照的である。
コンスタブルの風景画に「泰西名画」という言葉を思い出すが、どうやら彼の時代の風景画の画風を表すものではなく、あっさりいってしまえば、
古い西洋画の意でしかないようだ。今では余り使われない、どこか骨董的な趣もあるような言葉でしかないようだが、どうだろうか。
ともあれ、この桜並木は夏の陽射しをさえぎり、歩くほどに静まり安堵する小道である。突き当りを曲がれば、子どもたちの遊び声が聞こえてくる。