朝から一日中雨が降りつづいた。梅雨冷えのなか、昼近くに、先週(6/3)休講を経て、久し振りに市民講座「ユダヤの歴史を学ぶ」に出かけた。前回(5/27)に引き続き、東京工科大学講師の志田雅宏氏による、「『ヴェニスの商人』の舞台とその周辺: ルネサンス時代のユダヤ人」の解説をいただいた。
(本ブログ関連:”ユダヤの歴史を学ぶ”)
前回の、中世におけるキリスト教社会からユダヤ人への「保護」と、ユダヤ人からキリスト教社会への「奉仕」の関係について、具体的に中世都市ベネツィアなどでの状況・事例を紹介された。
1.キリスト教徒とユダヤ人との文化的交流
① ユダヤのヘブライ語文献の活版印刷
・ベルギー生まれのキリスト教徒「ダニエル・ボンベルグ(Daniel Bomberg)」(1549年没)による
- 「聖書」、「タルムード」の印刷
- アドバイザイーにキリスト教に改宗したユダヤ人が参加
- 印刷、校正にユダヤ人職人が従事
② ユダヤのラビとキリスト教徒の学者との研究上の交流
・聖書を従来のラテン語訳からではなく、ヘブライ語原典に遡って研究が進められた
③ キリスト教徒によるユダヤの神秘主義思想「カバラー」の研究
・キリスト教徒のピコ・デラ・ミランドラ、ヨハネス・ロイヒリンによる研究
2.ユダヤ人の経済的な位置づけ
① ユダヤ人が金利を持った金貸しに従事した
② ユダヤ人の居住を特定の場所(ゲットー)に固定した
見えるようで見えないのは、ユダヤ人の金融商的役割だろう。果たして、ユダヤ商人がどれくらいの規模(例えばベネツィア市の財政での取引規模の割合)でビジネスをしていたのかとか、イタリアの豪商にどのように貸し付けをしていたのかなど知りたい。同様に地方の人びとへの貸付はどのように行なわれたのかも知りたい。貸付証文の書面・内容を見たい・・・などあるが、講師の方が「宗教哲学」の研究者の方のようなので、以上の点について聞くのをはばかれた。