一昨日(10/17)、公園を散策していたときにトチノキ(栃の木)の樹下近くにそっと咲く野草があった。うすむらさき色した小さな2輪の野菊「カントウヨメナ」が、風に花びらを微かに揺らしていた。ひっそりと咲く姿は、楚々として味わい深いものだった。
この、うすむらさき色した野菊をうたった唱歌がある。昭和17年(1942年)に国民学校初等科三年生用の音楽教科書に採用された、「野菊(のぎく)」(作詞石森延男、作曲下総皖一(かんいち))である。
「唱歌・童謡ものがたり」*(読売新聞 文化部、岩波現代文庫)によれば、この歌が発表された当時の風潮の中で、石森は <万葉集の「ニギミタマ(和御魂)」の心を持った歌> と説いたといい、また、作曲者下総の思い出の、清楚な野菊野咲く利根川の農村のイメージ <文化から長い事とり残され・・・利根川のほとり・・・> につながるようと語られている。
(*)同書に、石森と戦後GHQとの興味深い関係について僅かながら記されている。
「野菊」
遠い山から吹いて来る
こ寒い風にゆれながら
けだかくきよく におう花
きれいな野菊
うすむらさきよ
秋の日ざしをあびてとぶ
とんぼをかろく休ませて
しずかに咲いた野べの花
やさしい野菊
うすむらさきよ
(Youtubeに登録のyoshihoshi111に感謝)