昨日観覧した江戸東京たてもの園の「武蔵野の歴史と考古学」展は、今日、東京都埋蔵文化財センターの研究員によるスペシャルトークがあり、再び出かけた。
スペシャルトークのタイトルは、「ギャラリー展『縄文中期の様と美』を中心に」とのことで、縄文土器の形状や装飾模様から同時代の美意識が聞かれると期待したが、とても慎重で素人受けするような言葉はほとんどなかった・・・研究者として誠実であることを後で納得する。
ところで、装身具の展示品については次のように語られた。
・白い貝の中心をくりぬいて作った貝輪(腕輪)は、「見た感じ小さく思われるが、子どものときから身に着けさせたようだ」とのこと。
・耳飾りにいくつか大小のサイズがあることについて、「(シャーマン家系で子どもの頃から)ピアスのようにして、小さいものから大きなものへと順に装着したようだ」とのこと。5cm位のサイズはある、国指定重要文化財の「土製耳飾」(縄文時代晩期)*が耳に飾られたのもうなづける。この「土製耳飾」は、弁柄(べんがら、赤鉄鉱:酸化第2鉄)によって赤茶色に色付けされているそうだ。
(*)「多摩の博物館に行こう - デジタルアーカイブ」(#21)に次のような解説がある。
・この耳飾は、昭和43年(1968)に調布市下布田遺跡から出土しました。今から約2500年前の縄文時代晩期の遺跡で、京王線の布田駅から南へ1.5km、多摩川に沿った大地にあり、その中心部は国指定の史跡として保存されています。
この耳飾の製法は、粘土が生乾きの段階を見計らってタイミングよく削って形を整え、焼いた後、樹脂に混ぜた赤色顔料のベンガラを塗って仕上げられたものです。
(本ブログ関連:"武蔵野の歴史と考古学")
帰り道、五日市街道沿いのマクドナルドで休憩した後、外に出て空を見ると、空の西半分太陽光に明るく、東半分がうす曇の境目になっていた。そして次第に天気雨(狐の嫁入り)になった。それまで暑さにうんざりしていたので、雨宿りすることなくそのまま雨道に出た。
からっとした空気のなかに降る雨は、いつもの雨と違っていた。濡れるに任せて進むうち、雨は次第にやみ、しばらくすると濡れた衣服と髪が乾きはじめたのだ。しばらくしてすっかり乾いたことはいうまでもない。こんなことは初めての経験かもしれない・・・なるほど、相の入り混じる微妙な場の出来ごとだ。もしかしたら、向こうの木立の奥で狐がコンと鳴いていたかもしれない。