ブログ本文&資料

2025年8月28日木曜日

「醒睡笑」: 躻(うつけ)2

東洋文庫「醒睡笑」(安楽庵策伝* 集、 鈴木棠三 訳、平凡社)の「 躻(うつけ)」の項に、阿呆ばなしを満載している。

(本ブログ関連:”醒睡笑”、”阿呆”、”阿呆船”)

次の話は、重力を利用して、臼(うす)の中の米を杵(きね)で搗(つ)く作業の途中、ふと思いついたが、吟味不足のまま、すぐに披瀝してしまう「うつけ」がいる。粗忽さに通じる。

-----------------------------------------------------
ちっと、たくらだ(ばか)があって、人に向かって、「おれは日本一のことをたくみ出した」と吹聴する。「どんな事を」とたずねると、「されば。臼(うす)で米を搗(つ)くさまを見るに、下へ下る杵(きね)は役に立つが、上へあがる杵は無駄になっている。所詮、上にも臼をかいさま(さかさま)に吊って、それに米をいれて搗けば、上下両方の米がいちどに搗けて、杵の上げ下げがそつになるまい、と思案した」という。そのことばの終わらぬうちに、「その吊り下げる臼に米を入れるにはどうする」と問いつめると、「まことに、その思案はしなかった」。
----------------------------------------------------

どこの国でもありそうな物語だ。ヘルムの村の長老が「夏が暑い」わけを、冬の寒さから紐解く滑稽話がある。一見もっともらしい可笑しさがある。(2021年12月7日火曜日に記載)

(本ブログ関連:”ヘルム”)