8/29、8/30 に続けて、お月様にからめた歌を探してみよう。これまで、女性が月あかりを通じて愛を想うものを見てきた。今回は、男の側から喜劇王エノケン(榎本健一)の「月光価千金(げっこう あたいせんきん)」を聴いてみよう。SPレコードから流れる歌詞は、男の本音と照れがないまぜされたチョイときわどいものである。
原曲は、アメリカの「Get Out And Get Under The Moon(外へ出よう、月の下へ)」(作曲ラリー・シェイ 、作詞ウィリアム・ジェローム & チャールズ・トバイアス共作、1928年に出版)だ。また、英題でGoogle検索すると、第一にあげられるのは ナット・キング・コール版になる。私もそう思う、彼の歌はしゃれていて何よりスマート、だから分け隔てない支持を得たのではないかと。
今回は標題の通り、エノケンの「月光値千金」を聴いてみよう。
なぜ、エノケンなのかといえば、彼が日本の喜劇界で、伝説の金字塔だったからだ・・・こどものころ、父からそう聞かされていた。正直なところ、学校から帰って見たテレビ番組は、もっぱら浅草の「デン助劇場」だったり、上方の藤山寛美を座長とする「松竹新喜劇」だったけれど。
何かのきっかけで、エノケンがテレビに登場したとき、親父と一緒に見た思い出がある。エノケンは、病と闘いながら最後まで喜劇役者を通したと、壮絶な物語をよく聞かされた。
■ Youtubeに「榎本健一 - エノケンの月光値千金 (1936)」がある。
https://www.youtube.com/embed/LQu83rtNYec (登録者:uchukyoku1)
歌詞(上掲Youtubeの解説蘭より: 江戸っ子訛りで歌う)
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美しいシとに出会ったときにゃ やさしくしとやかにシざまずいて
ニヤニヤッとエッヘッヘ笑って手を握りなさい 大声あげず逃げださないならば
「ア、ラ、マ、いけ好かないひとですわね まあ! およしなさいましよ」
てなことを云ったってもう大丈夫 彼女はわたしの両手を待ってます
美しいシとに思いこまれて 朝から晩まで愛の囁き
イヤーンと鼻声で いちゃつくときは 小鳥も仔猫もあら これにゃあ顔負けだ
おっ おっ 愛しいおまえ む ね が燃える 「あ、ら、まあ、キマリが悪いわよ」
暁の朝風がしみじみと 二人の愛の巣は ヘッ、へックション、夢だった
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