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2024年12月12日木曜日

(資料)金鉱山: 菱刈鉱山

以前、体が丈夫なころ、鉱物採集のベテランの方に従って関東近辺の鉱山を巡った。基本的に閉山した跡地で、旧い「ズリ」*を探しては鉱物を見つけた。採集仲間の一部は、腰の深さまでズリを掘り返す者もいたが、私たちはもっぱら表面採集が中心だった。
(*)ズリ: 鉱山で選鉱後、不用になった岩石の捨て場(=坑道に入れぬマニアの採集場所になる)。

(本ブログ関連:”鉱山”)

ベテランの方は、ズリ場の傾斜地などで、目指す鉱物を含んだ岩石を見定め、ハンマーで割り進める。すると、見事な結晶を取り出すのだ。母岩付きの結晶の何と美しいこと。つねづね思うのだが、いずれの世界でも、ベテランといわれる人は「勘」と「記憶力」**がまるっきり違う。一方、勘どころのない私ときたら、やみくもに岩を叩き割るしかない。
(**)勘と記憶力: 鉱物の鑑別だけでなく、産地の道筋や地形、草木一本についても。

採集地につづく道の途中、つくば市にある産業総合技術研究所の「地質標本館」に立ち寄ったりしたことがある。アマチュアには及びもつかない鉱物標本が陳列されているのだ。いっとき、夢を見ることができる場所だ。分類展示室の順路の終わり出口近くに、(鹿児島県)伊佐郡菱刈町「菱刈鉱山」の「金銀鉱石」標本***が置かれている。いつも見ても感心する。
(***)標本データベース: https://gbank.gsj.jp/musee/#M12212

(本ブログ関連:”金山”)

標本ラベルに、金銀の含有量について「"Ginguro(銀黒)"  ore(鉱石); Au 3,600g/t、 Ag 9,720g/t」と表示されている。トン当たり、金(Au)が 3,600g/t 産出したというのだから、すごい標本だ。

ちなみに、鉱石とは「さまざまな鉱物や岩石が混在している状態のもの」であり、鉱石中に含まれる産業的な鉱物を「有用鉱物」という。
アマチュアが入手する、金を含む鉱物標本は「ギングロ」といわれ、名前の通り黒い筋しか見えないのが普通。金の粒の標本は、川辺で水と大きな皿を使って採取する砂金採り(パンニング)がもっぱらだ。

ところで、Youtubeを巡っていたとき、菱刈鉱山の金採取の紹介があった。
世界的に 1~2g/t のところ、400g/t 採取できる切羽(きりは)の場面があった。なにより、金鉱山の金鉱床に、まさしく潜入できる映像なんて珍しい。

■ Youtube(登録: 鹿児島ニュース - KYT鹿児島読売テレビ、2024年11月5日 20:23)
「【特捜隊】令和の鉱山は驚きの進化!Wi-Fiで遠隔操作も 日本一の金山・伊佐市の菱刈鉱山に潜入」
https://www.youtube.com/watch?v=EjPIx3Chy8o

現在の鉱山経営は、IT技術を使ったいろいろな工夫がされていることも知った。