公開講座の「身近な民間信仰」第1日目にあたるきょう、❶「家に祀(まつ)る神様仏様」の講演があった。講師は、府中市「郷土の森博物館」の学芸員、佐藤智敬氏である。(以下聞き間違えがありましたら、ご容赦を)
(本ブログ関連:”市民講座「身近な民間信仰」”)
多摩川の北側にある府中市から、北上して国分寺崖線にいたるまでの小金井市との両エリアにおける、「稲荷信仰」、「講」の2つの伝承について語られた。稲荷信仰は、私にとってかなり興味深いテーマだ。講は、今回初めて聞くことになる。
- 古い2万5千分の一地図上、上記エリアに桑の木が広く栽培されていたのに驚く。
(本ブログ関連:”稲荷”)
① 家の神様(仏様): 稲荷様について
・府中・小金井のエリアにおける、「屋敷神」(個人敷地内)の信仰は、ほぼ稲荷信仰だった。(府中市: 8割)
ー 村共同体の稲荷信仰は、屋敷神から成長(引き継いだり)したものと考えられる。
・屋敷神としての稲荷様の神体は、藁(わら)で作った社(やしろ)や祠(ほこら)の中に置かれた丸い石だったりした。
・屋敷神は、有名な神社・寺院から、分祀・勧請(かんじょう: 分霊をいただいてくる)。
ー 平安時代に、関東エリアに稲荷神はない。
ー 江戸時代中期の新田開発に伴い、村の鎮守として登場。
・朱鳥居は、明治以降に登場したようだ。・・・?
・狐の上にいる稲荷の姿
ー 神道の神体は、稲を背負う。仏教では、守護神の荼枳尼天(だきにてん)。
・家の神様から、効用を持つ神へ変わる。笠森稲荷=笠(皮膚病の瘡(かさ)ぶた)の平癒。
・「稲荷」の前に「~稲荷」と(正一位など)格付けは、近世中に行なわれた。
② 講(こう):宗教的な講(遠隔地への参詣のための集まり)
・農村にとって、天候は神頼みであり、お参りに行くため「講」が作られた。
ー 講の発達:「御師」・「先達」と呼ばれる宗教者により流布され確立していった。
ー 御師の札配りは、大正ごろまでつづいた。
・集団の参詣:ア)日帰りなど全員で行く、イ)代表者が行く(代参)などがある。
ー 遠隔地へ行くのは金持ちだけ。
・宗教的な講であっても、途中あるいは参詣後、旅行の要素を含む行動があった。
・講の減少:ア)農業人口/田畑の面積の減少、イ)天気予報技術の発達などあって、参詣の必要性が減ったことによる。
ー 郷土史: 民家の屋根裏から参詣の証である「お札(ふだ)」が大量に発見されることがある。
(付記)
民間信仰と関係ないが。早朝5:00の「NHK NEWS おはよう日本」に、気象予報士の近藤奈央さんが復帰しているのに気づいた。12/2からとのこと。