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2019年8月22日木曜日

ヤブランとアカメヤナギ

「自然観察園」の入り口には、いくつかに間仕切りしたボックスがあり、それぞれに、園内の季節の樹木や草花情報を印刷したリーフレットが入っている。特に「花だより」は、毎月、前半(No.1)・後半(No.2)の2回に分けて発行される。花の開花期間を考えてのことだろう。

(本ブログ関連:”自然観察園”)

このところ季節の変化をしっかり感じる。日向と日影で気温の差がはっきりしてきたことだ。そんな薄曇りの今日、8月度版のNo.2「花だより」を片手に、すれ違うひともない静かな自然観察園を巡った。

ヤブランの花とアカメヤナギの幹
以前、8月初(8/2)に訪れたとき以上に「ヤブラン(藪蘭)」の淡紫色の花が咲き乱れていた。華やかさを主張しない花だが、左の写真のように、「アカメヤナギ」(マルバヤナギの別名)の樹下に群集するのを見ていると、その場がまるで「ジブリ」アニメの世界のような錯覚すら覚える。幻想的なしっとりとした色合いが美しい。

(本ブログ関連:”ヤブラン(藪蘭)”)

アカメヤナギの幹の太さとうねり具合に驚く。ヤナギ科ヤナギ属の樹木ながら、一般的な「」の持つ、なよとした女性的なイメージとは真反対で、力強く立つこの樹に寄り添うようにヤブランが咲いていた。

その他に観察した草花は次の通り。名前にこだわりたくなる白色の「センニンソウ」は仙界や貴種というより、身近な感じすらする地味な「つる」植物だ。目をもっと近づけると華奢で可憐。また、小さな花が茎に淡紫色の花がかたまって、数珠繋ぎするように咲く「ハッカ」は、園内を巡る板橋から覗くにはこじんまりしていた。




キツリフネの葉表
ところで先月(7/3)、「ハンゲショウ(半夏生)」の草の葉に、白い斑(ふ)がまだらに付いているのを見た。よい例えではないかもしれないが、まるで緑色の葉の上に、飛ぶ鳥がフンを落として白色に乾いた跡のようというのは言い過ぎだろうか。昔の人は、もっと洒落て、女人の白化粧なかばのイメージから「半化粧」の名を与えたものだ。

(本ブログ関連:”ハンゲショウ”)

さて今回、同じように葉の表面が変化する様を楽しんだ。やがて黄色の花を咲かす前の「キツリフネ」の葉表が、左の写真のように、葉の茎側が薄緑色して葉先に向かって緑色を増すグラディエーションが目に留まった。開花前の、キツリフネの葉の色合いの違いを見て、おもわず木漏れ日による光の魔術かと錯覚してしまうほどだった。

公園は静まり返っていて、小川で水遊びする家族連れもまれ、日を受けながら沼に掉さす釣り人もまれ。上空を飛び交う飛行機のエンジン音だけが響いていた。