帰宅道、東の空に月齢 11.2の月が浮かんでいる。なのに星一つ見えない。厚い雲が垂れているわけではない、むしろ空全体に青味すら感じて不思議な気がした。きっと、月明かりだけ通す薄い雲が空を覆っているのだろう。
先ほど見た旅番組で、タレントと何ごとも無頓着な漫画家が、夜の岬を訪れたとき、撮影用の照明を落とした瞬間、歓声をあげた。まるで、岬の先が「天の川」へ通じているようだというのだ。星明りの強烈さを、そのときのテレビカメラの感度では伝えられなかったという。
照らされて影ができるほどの、煌々とした月明かりも浴びたい。あるようでない経験だ。
昔のこと、写真集「月光浴」(石川賢治*、1990年)が話題になったことがある。微かな露光の月明かりを頼りに、サイパンの岬に打ち寄せる波を撮影(長時間露光)した「岬と波」(1985年)の写真はまことに印象的だった。月明かりに照らされて岬に砕ける波が、雲海のように(あるいは、夜光虫が輝いているように)見せるのだ。想像すらできなかった光の世界、光の妙味である。
(*)石川賢治「月光欲」のホームページ: http://gekkouyoku.com/
(Youtubeに登録のmansaku1966に感謝)
(付記)
ちなみに、「~浴」にあたる「森林浴」がある。Wikipediaによれば「日本では1982年に当時の林野庁などによって提唱」されたという。他のネットニュース(複数)に、日本発祥のブームとのこと。
(本ブログ関連:”森林浴”)