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2018年11月10日土曜日

石川さゆり「津軽海峡・冬景色」

「流行歌」という言葉が隠れて久しい。昔、誰もが耳にした、小柳ルミ子の「瀬戸の花嫁」(作詞:山上路夫、作曲:平尾昌晃、1972年)の歌は、子どもから年寄りまで口ずさむことができた。私たちはそれを流行歌と呼んだ。

流行歌は、レコードやテレビから繰り返し聞こえ、歌詞カードや字幕なしに親しまれた。電化製品が「家電」から「個電」へと細分化された結果、音楽も共有するものから個人のものへと変わっていった。音楽はいつの間にか、ヘッドホン(或いはイヤホン)の中で響き、足の早い消費物へと変質したようだ。

時代は、二、三十年のサイクルで大きく変遷する気がする。時代の変化は、その後に継承されることもあれば、また振り出しに戻ることもあるようだ。時代(或いは世代)を表す重要なキーワードがいつのまにか消えうせ、実は旧態のままだったりする。さいころは何度も振り返されるようだ。伝わらぬ無念さをひしひしと感じることもある。

冬に思う歌といえば、誰もが口にした(歌いたくても難しい)流行歌がある。石川さゆりの「津軽海峡・冬景色」(作詞:阿久悠、作曲:三木たかし、1977年)だ。北へ帰る、演歌の定番とでもいうべきものだ。そして、津軽海峡の言葉から冬景色をはずすことができないほど、彼女の抜きんでた歌唱力は、この作品を別段に乗せた。

(本ブログ関連:”石川さゆり”)

当時、次のYoutubeを見れば、粗忽なファンは彼女のイメージを追ったかもしれない。けれど、彼女はそんな騒ぎを超えて、歌本流を昇っていった。歌謡界の大きな柱を担う存在として。


(Youtubeに登録のblue birdに感謝)