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2018年2月18日日曜日

後天性の才能があれば

以前、大音響セットによる映画「フラッシュバックメモリーズ 3D」を見たことがある。オーストラリア原住民のアボリジニの民族楽器「ディジュリドゥ」奏者である、日本人のGOMA氏が、「演奏」と「記憶喪失」の狭間で苦悩する日常をあつかったドキュメンタリーだ。

(本ブログ関連:”フラッシュバックメモリーズ 3D”)

記憶喪失の原因になった交通事故をきっかけに、GOMA氏に、ある能力が突然現れたことを触れられるが、映画全編、圧倒的な「ディジュリドゥ」が響き、客席を振るわせる。主題は、爆音ともいうべき音響効果にゆだねられたようだった。

その、もうひとつの能力とは、緻密な点描画作成の才能だ。昨晩、NHKのETV特集「Reborn ~ 再生を描く ~ (ディジュリドゥ奏者・画家GOMAが新たな表現に挑む!」(2/17)は、この点に目が向けられた。

生来の脳障害に、特定分野の才能を発揮する「サヴァン症候群」がある。一方、普通に生活していた人が、事故などで脳障害を起した際に発生する「後天性サヴァン症候群」がある。GOMA氏は、交通事故後、点描画に執着することになったが、他の(海外の)ケースでは、作曲や数学など文化的な(いってみれば脳内で活性化するであろう)才能が突然花開くことがある。

後天性サヴァン症候群は、うらやましいほどの才能を見せるが、その背景に脳に関わる事故があったわけで、記憶の問題を抱えているようだ。今回、その症候群について現代医学状況を紹介した。

さて、私にしたら、生活に困らない程度であれば、後天性サヴァン症候群を体験したい誘惑にかられる。不謹慎かもしれないが、後天性サヴァン症候群は、結局は、その人だけ特有の症状であって、才能が決して猿真似でないのだから。うらやましいと思わぬでもないではないか。

ただ、私は転んで膝をすりむく程度。今の生き方も、考えてみれば、同じくらい偶然に支えられているのかもしれない。