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2018年2月9日金曜日

イディッシュの阿呆酒場 7+7=11

イディッシュ語のテキストに、毎度馴染みの「ヘルム(כעלעם)」の村(町)らしき舞台があって、そこでありそうな阿呆酒場の話がある。7+7=11 となる、例によってイディッシュらしい、視点を混乱させるひねくりジョークだ。

(本ブログ関連:”ヘルム”)

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・男が酒場で飲食して、「お勘定!」と頼んだ。
・女将(おかみ)がいうには、「肉ジャガが7グロシュ、パンも7グロシュ、合わせて11グロシュ」
・横の客(פֿרעמדער)が「そりゃ違う」、「7と7で14だろ」といった。
・女将がいうには、「いいや、これでいい。知ってるでしょ。わたしゃ、前の旦那との間に4人子どもがいる。今の旦那は4人の連れ子がいて、私との間で3人産んだ。だから、わたしゃ7人の子を産んだし、今の旦那にも7人の子がいる。けれど、わが家にゃ子が、11人いて、14人じゃない。」
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何が間違いかって?
本当は、前の旦那との間に4人、今の旦那との間に連れ子を含めて7人、合わせて11人でしかない。ところが、今の旦那との間にできた3人の子どもを、女将と今の旦那の両方の視点で見て、二重に計上していることになる。ユダヤ人はこんなだまし絵のようなジョークが好きなんだろうか。

(追記)
女将の計算を「違う」といった客は、生真面目にそういったに違いない・・・けれど、客=פֿרעמדער(foreigner)が、この酒場を知らぬ一見のよそ者だったとしたら、ちょっと面白いことになる。地元客は、女将の勘違いを以前から知っていて、知らぬ顔を決めていたのかもしれないからだ。女将、よそ者、そして地元客との関係が見えてくる。
そういえば、どこかで聞いたような勘定違い・・・落語の「時そば」を思い出す。