ブログ本文&資料

2016年11月10日木曜日

子鹿物語

小学校に畳敷きの大広間があって、女子の家庭科の裁縫室に使われていた。テレビもない時代のこと、視聴覚教育として映画鑑賞にも利用された。落ち着きない子どもたちが、畳に座ればおとなしく見るだろうということだったのかもしれない。

文部省推薦のいわゆる教育映画が中心だったが、ディズニー・アニメも組み合わせて映写してくれた。当時、アニメなんて言葉はなかったが、子どもたちを大いに楽しませてくれた。ミッキーマウスたちを見たくてわくわくした。

16ミリフィルムの映写機だったと思う。部屋が暗くなると騒いでいた子ともたちは一斉にスクリーンに集中した。カラカラ音をたてながら投影する映写機の音は、全く気にならなかった。数クラスの生徒が共有する貴重な時間だった。

いつだったか低学年の頃、「子鹿物語(The Yearling)」(1946年制作)を見た。カラーだったこと、子鹿がいたこと、主人公が泣きながら鹿を撃ったこと、今となってはそれくらいで、ストーリーはおぼろだ。ただ、いつも見せられた説教的な白黒の教育映画と違い、別種の物語りがあった。そんな経験でしかなかったけれど、その後アメリカ映画との距離をぐっと近づけることになる。


(Youtubeに登録のMovieclips Trailer Vaultに感謝)