ブログ本文&資料

2016年3月1日火曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 済州島

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(2/24)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、最も早く春が訪れる馬の島「済州島(제주도)」に関連した3曲を紹介した。

(本ブログ関連:”済州島”、済州島の歌手”キム・ヒジン”)

始めに、鮮後期の実学者、朴趾源(박지원、1737年~1805年)の小説「許生伝(허생전)」について次のように紹介された。
・昔、学者ソンビ(선비)は、髪を「サントゥ(상투)」の髪型に結い、馬毛(たてがみや尾)で作った、網状の「網巾(망건)」で乱れ毛をまとめ、冠の「カッ()」をかぶった。馬といえば済州島だ。朝鮮後期の朴趾源の小説「許生伝」に馬毛の話がある。主人公の許生が金を借り、奇抜な商法で10倍にして返す。彼は、馬毛不足で値上がりを見越し、済州島で買いあさる。数年後に誰もまげを結い上げられなくなるだろうと言う。やがて、網巾の値段は10倍の高値になる。済州島の女性は比較的暇な冬に、陸地の女性が機織りするように、網巾を編んだ。そのとき、身上の愚痴をこぼしたり、姑の話などの内容のうたを歌った。

▼ 済州島の「網巾の歌(망건 소리)」を聴く。労働の歌らしく、先に歌い後に唱和し繰り返す素朴さが素晴らしい。

次に、済州島の春を歌う「あなたと私と(너영나영)」について次のように紹介された。
・済州島では、冬もミカンの木に葉が付き、ツバキや様々な花が咲く。暖かくエキゾチックな雰囲気が漂う所だ。今、二十四節気の「雨水」や「啓蟄」と春めく。済州島は最も早く春が訪れる。そろそろアブラナの咲く時期だ。でも春は、自然よりも、若い男女の心に先に訪れる。済州島民謡に、「ノヨンナヨン」がある。済州島方言で、「あなたと私と」の意だ。朝には腹を空かせた鳥がさえずり、夜には恋人を恋しく思いながらさえずるという歌詞。多くの国楽の歌い手にリメイクして歌われる。

▼ 歌とカヤグム演奏による、「あなたと私と」を聴く。軽快で爽やかに今様のリズムして歌う。

最後に、「龍天剣(용천검)」を持った男性に恋心を抱くという済州島独特な愛の歌について次のように紹介された。
・済州島は陸と遠く離れたため、長く冷遇を受けた。済州島の人々は、国の許可なしに陸地に入れなかった。政治家が罪を犯したとき、島流しになる場所でもあった。そのため、済州島の人々は近代に至るまで、彼ら固有の生活を維持してきた。その独特な文化は、一方で傷を、もう一方で豊かな文化を表す。また、済州島には「龍天剣」という、天下一の刀にまつわる独特な愛の歌がある。みすぼらしい出で立ちの男が登場するが、龍天剣を持ち普通の人でない。その剣を見た女性が、密かに恋心を抱く内容だ。

▼ 「龍天剣」の歌を聴く。済州島の特異な地理的位置を感じさせる独特な響きと大らかさを、今様にして感じさせる。