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2013年5月19日日曜日

思いつくまま冬虫夏草

テレビ情報番組で、ネパールの農民が山肌に茂る短い草むらの中から冬虫夏草を探し出し、それを仲買人に売って生活費の足しにすることから始まり、最終的に中国で驚くほど高価な食材となるまでをドキュメント風に紹介した。
採集に子供の目力が役立つと、作業を手伝わせる場面があるが、経緯にちょっとした脚色があるのかな。

なぜ虫が草になってしまうのだろうか・・・どちらかといえば、それを知りたかった。菌類が昆虫の体内に侵食(寄生)して宿主を乗っ取ってしまうのだが、そんなことがあるなんて、むかし白戸三平の漫画で知ったときには驚いた。

四方田犬彦は「白土三平の食物誌」の中で、冬虫夏草を題材にしたストーリーを次のように紹介している。
「初期の『甲賀武芸帖』の・・・第二話では、不老長生の妙薬を求める旅に出た少年が、冬虫夏草を発見したものの吹雪に遭難してしまい、みずからが巨大な冬虫夏草の温床と化してしまう。 」

そういえば、落語に「頭山(あたまやま)」があって、サクランボの種を飲み込んだけちん坊が、頭頂に育った桜の木を引き抜いた穴に、最後は身を投じる。人間版の冬虫夏草、いな冬人夏樹とでもいうのか、それにしてもメビウスの輪のように、空間がねじれるという不思議でおかしな展開だ。

ところで、ヘビが自分の尻尾を食べたら最後はどうなるだろう。